tetunagu


1: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 18:50:20.32 ID:LZSY7jKs.net
年内からちょこちょこ書き溜めてたら超大作になったwww

こういうスレ立ては初めてですが、書き溜めたの投下してくので
喪女のさみしい妄想話とでも思ってお付き合いいただけたら嬉しいです

ほんと、とにかく長いけどな!



引用元:http://hayabusa3.2ch.sc/test/read.cgi/news4viptasu/1483437020



2: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 18:51:43.93 ID:LZSY7jKs.net
遡ること数年前。
私たちにとっては、二十代最後の冬。

久しぶりに、高校時代の美術部仲良しメンバーで飲み会をやることになった。


卒業後もちょくちょく集まってたんだけど
やっぱり、就職や結婚で、男性陣とは段々と疎遠になっててさ。

でも女子会wはしょっちゅうやってたので、ある日のノリで
久しぶりに男どもも呼んで、ちょっと早めの忘年会やろう!と。


そしてその日の連絡で、Aちゃんは私に、ほぼ消えかけてた人の記憶を蘇らせた。


「なんかねー、意外な人が来ることになったんだけどさ」

「えっ!まさかの顧問しまピー登場!?」

「違うよw ほらー、いたじゃん?美術部の隠れキャラと呼ばれてた男子が」

「んん?…………………あー、M君?」

「うん。O君から誘ってもいいか聞かれてさ。 断る理由も特になかったし…いいよね?」


「別にいいよ。私、あの人ちょっと苦手だったけどねw」

「そうねー、私もそんなに得意じゃなかったかなー。 たぶんM君としても、O君が誘ったから来るんだろうし」

「あ~。飲み会とか、絶対参加しなそうなイメージだよねえ」

「まあお互いもう大人なんだし、そこらへんは上手くやろう」

「もちろん!楽しみにしてるよー」

M君は美術部員じゃなかった。

彼は、顧問しまピーと同じバンドのファンってことで仲良くしてて
放課後の美術準備室で、いっつもしまピーのCD聞きながら本を読んでいた。

その彼にデッサンモデルを頼んで、準備室から引っ張り出したのがO君。
どうもM君の本を読む姿がO君の感覚にツボったっぽい。
M君、なかなかのイケメンだったんだ。

美術室に出てきたM君は、そのうちO君以外の男子とも打ち解けて
モデル契約が終わってからも、なんとなーく美術室に顔を出していた。

でも私は、どこか陰気でトゲトゲしさのある彼が、どーにも苦手だった。
その後もあまり接触なく卒業したので、私にとっては


M君=準備室で仏頂面してる怖くて邪魔な男子


それで全てだったんだ。



6: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 18:56:05.11 ID:LZSY7jKs.net
誰もいないんだろうか…

改行とか、大丈夫なのかな?
読みづらいかな?



5: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 18:55:35.46
1レスがスマホの画面に収まる長さにすると読みやすくて好き



7: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 18:57:09.12 ID:LZSY7jKs.net
>>5
あ、人来てくれた!
ありがとう、読みづらくないかな?



8: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 18:58:31.27
とりあえず見てるぞ



10: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 18:59:35.23 ID:LZSY7jKs.net
>>8
どうもありがとう!
なにぶん不慣れで、ちょっとモタついてます…



9: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 18:58:35.55 ID:LZSY7jKs.net
飲み会の当日。
お店に着くのが遅れてしまった私に、Aちゃんからイマドコ電話が入った。


「ごめん、もうちょっとで着く!」

「うん、気を付けておいで。玉山鉄二もいるよ」


「……はい?」


店に着いて案内された個室のドアを開けると、なるほど、確かにいた。
メガネをかけた玉山鉄二が、そこに。

まーご想像どおり、それがM君の成れの果てだった。
「はい、あんたたち独身席ねー」


Aちゃんに押されてM君の隣に追いやられる。
この日集まったメンバー中、結婚のケの字すらないのは、私とM君だけだった。


「え、う、あ…どーもお久しぶり……玉山クン」

「お久しぶりです。 まだ嫁入り前だから、名前変わってないはずなんですけどねw」



苦笑いしながら、私のためにちょっと体をずらすM君。


「Aちゃんなに言ってんだろ?と思ったけど、ほんと似てるね。 どーして高校生のとき気づかなかったかなあ?」

「あー。あのころはまだデビューしてなかったもんで」


「ご本人様かww」

「はいはい、人の顔見下ろしてないでさっさと座る」

「あ、ごめんごめん」


M君の隣ということでちょっと身構えたけど、 冗談ぽくウザそうにされただけで、高校時代の陰気なトゲトゲしさはなかった。
大人になって、ずいぶんと丸くなったんだなあ。

つーかこれ、あれだ。
きっとよそでも玉山玉山言われまくってんだろうな…。
「でもほんと久しぶり。M君とは卒業以来だもんね。 前はよくこういう飲み会やってたんだよ?来ればよかったのに」

「俺は部員じゃなかったから、やっぱり気が引けてさ」


M君はこの二年間、資格取得のために勉強漬けの毎日だったとのこと。
そして試験終了して、それまでの断酒生活にサヨナラしようと O君と飲む約束をしていたら、この飲み会の話がきた、と。 どうやらそんな流れで、偶然の参加だったようだ。


「なんかごめんね、部外者がいて」

「んん?だって男子とはまだ付き合いあるんでしょ? だったら部外者ってわけじゃないじゃないw」


ちょっと縮こまり気味なM君の態度に

そんな遠慮しなくても、その顔ならわりとどこもフリーパスなのでは…?

と思ったけども、話してるうちに段々と気づいた。
彼は、そういう馴れ馴れしさや、調子づいたところがない人だった。

久しぶりのM君はトゲトゲしさが抜けたどころか控えめな雰囲気の、感じのいいイケメンに進化していた。

きっと高校時代のぶっきらぼうな陰気さは大人としての落ち着きへ変化したんだろうな、と思った。


「なんか印象変わったねえ、M君。ホント言うと、高校のころはちょっと怖かったんだー」

「あー…。ごめん、それはお年頃ってやつですよ。あのころは俺も女子が怖かったんだ」

「へええ、そんな奥手だったんだ? まー喪女の私が言えたこっちゃないけどw」

「うん、いまも似たようなもんだよ。どうぞお手柔らかにw」


はい、それは絶対ウソだね。

私は、彼氏いない歴=年齢の、正真正銘の喪女。
「君は友達」「妹みたいな存在」なんて、フられ続けて十数年。
だけど、男性ばかりな職場なので、ある意味で男の人には慣れている。
お付き合い経験ゼロなのに、見る目ばっかり肥えちゃっていた。

なのでこの日も、M君と話しながら冷静に観察もしてて好青年に大変身してる彼に驚きつつも

「こいつ女慣れしてるなー。この顔なら当たり前かー」

なんて、生意気なことを思ってもいたんだ。

しかも私の男性の好みは、ゴツゴツした顔のいかついタイプ。
イケメンには全然興味なくて、M君みたいな人といても全然ときめかない。



15: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 19:03:52.59
_______________________________

このお話はフィクションです

_______________________________



18: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 19:07:24.99 ID:LZSY7jKs.net
>>15
そんな感じで読んでもらえると、実は助かるw



16: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 19:05:09.11 ID:LZSY7jKs.net
「まあどーせ、玉山クンはモテるんだろーしねー」

「あのー、そろそろ玉山呼ばわりはやめてもらえませんかねえ」

「いーじゃん、褒めてるんだし。 それともあれかい? 君、イケメンであることにコンプレックスがあるとか?」

「なんで飲んでない方が絡んでくるんだよw いやもう単純に、俺の名前は玉山じゃないからね? それにもしも喪子だって………って、あれ?

…………えーっと。

……俺、高校のとき、喪子って呼んでましたっけ…?」


「いんや、苗字にさん付けでした」


やっとそこに気づいたか。
たぶん呼び方忘れちゃうくらい、印象薄かったんだろうなー。
そんで他が喪子喪子呼んでるから、つられちゃったんだろう。
「そっか、俺も偉そうなこと言えなかったか。ごめん、喪田さん」

「いまさらどーでもいいわいw好きなように呼んでよ」

「えーと、喪田さん…喪子さん…喪子ちゃん…………喪子」


「はいよ」

「ごめんね、やっぱり俺もみんなと同じように呼んでいいですか?」


「だから気にしないでいいってばww」


この時、私は確信した。
こいつ、やっぱりいい奴だ。



24: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 19:09:34.71 ID:LZSY7jKs.net
それにしたって、大人になったM君とはかなり話が弾んだ。
彼はおしゃべりではないけど、口を開くと三枚目になるタイプだった。
話を聞いてて面白いし、こっちの話もしっかり聞いてくれる。

それに私たちには、いくつか共通点があったんだ。

まず、聞いてるジャンルは違ったけど、音楽が好きということ。
それと、職業がビミョーにかぶっていたこと。
これには彼のほうが食いついてきた。
彼には私の職種方面のツテがなかったらしく お願いされたので名刺を交換すると、周りから野次が飛んだ。


「ちょっとそこ~…商談かよ…」

「ちゃんとプライベートのも交換しなよー?」

「せっかくだから、クリスマスは二人で過ごせば!?」


「「クリスマスは夜まで仕事だよ!」」


誰かの言葉に、私とM君は同時に返した。
私たちの職種は年末が特に忙しく、クリスマスなんてできないのが恒例。
もう慣れっことは言え、なんとなく仲間意識が芽生えてしまう。


「なにクリスマスに仕事してんだよw」

「そっちこそwお互い様でしょーがw」

「クリスマスがヒマだと、正月がこないもんなあ」

「そーそー。クリスマスだけ忙しいわけじゃないけどね」

「それじゃあ、クリスマスに仕事終わって虚しくなったら、メールでもくださいな」


M君はさりげなく、自分の名刺の裏にメアドを書き込んだ。

うーん、この流れ…
やっぱこいつ、慣れてんなー。


「でもこのアドレスにメールすると、
ちょっとこれ誰よ!なんて修羅場になるんでしょ?」

「それはありません」


即答でした。
その後、私は喪女たる矜持を保って、M君にメールすることはなかった。
と言うよりも、仕事のバタバタでそれどころじゃなかったんだ。

だけどクリスマスの夜、仕事帰りに立ち寄ったコンビニでクリスマス用のショートケーキが一つ売れ残ってるのを見たら、ふと 

あ、M君にメールしてみようかな?

という気分になった。
ヒマだったらメールくれって言ってたもんね。


………だけど、相手はイケメンですぜ?

聖なる夜に喪女がイケメンにメールするとか勘違いも甚だしいんじゃありませんかい?


もう一人のモジョモジョしい私が語りかけてきたけど
「それはありません」という即答を思い出して、思いきってメールしてみることに。
「今コンビニで、売れ残ってるケーキを見つけた。同じ売れ残りとして、どうしたらいいかな?」


返信はわりと早かった。


「返しに困るメールを寄こすな!

是非ご一緒にと言いたいところですが、あいにくと風邪をひいてしまいました。
せっかくメールしてくれたのに申し訳ない。
ケーキは買ってあげるとよいでしょう。

メリークリスマス」
おあー。

なんかずいぶんと、やんわ~り断られたなあ。
別に一緒に食べたいなんては思ってなかったのに断られると、なんだかやっぱり凹むなw

…ひょっとして、女の子と一緒だったとしたら悪かったなあ。


「お邪魔しちゃったならゴメン!
ほんとに風邪ならお大事に、あったかくして寝ろよ~。

メリークリスマス!」


送信。

さーてケーキ買わずに帰るかあ、と思ってたら、携帯が鳴った。
M君から、メールではなく電話がかかってきた。
「本当に風邪ですよ」


開口一番、彼はものすごい掠れ声でそう言った。


「うわー…。それ、しゃべらない方がよくない?」

「だったら、しゃべらすようなメールをするな」

「あー、えーと、そうか…ごめんなさい」

「いえいえ、こちらこそ突然電話してすいません。もう三日も寝込んでて、どうにもヒマなもんで、つい…」

「え、三日も?」


この繁忙期に!? とは言わないでおく、私の優しさ。
「確か一人暮らしだよね。ちゃんと食べてんの?」

「」


一瞬、言葉が止まった。


「食べてるよ」


「なにを?」

「適当に、あるものを」



食べてねーな、こいつ。


「あのー、もしなにか食べたいものあったら、持っていこうか?せっかくだし、この際、頼ってくれてもいいよ?」

「あー………それじゃあ、甘くて柔らかくて喉にやさしい、ケのつく食べ物を…」


売れ残りのケーキを速攻で買う。 だけど、風邪ひいてるときにケーキはないよなあ。

レトルトのスープやおかゆも買って、メールで送られてきたM君のアパートへ向かった。


出迎えたM君は、顔色と声以外はわりと普通だった。
扁桃腺をやられて、高熱を解熱剤で抑えてるとのことだった。

「風邪ひいててもイケメンなんだねー」

と言うと

「いま病人なんで、上手いこと返せない」

と、鬱陶しそうにシッシッと手を振られた。
やっぱり、言われ慣れてんなー。



「どうですか、シャバの様子は?」

「普通普通w絶好調に修羅場だよww」

「そっか…。
じつは昨日、年内仕事だけでもって思ったんだけど…
上司に追い返されちゃってさ」


「はあ!?ひょっとして、その顔色で出社したの!?」

「うん、どっちにしろいい迷惑だよな…でも焦っちゃってさ」


しゅんとしてしまうM君。
ああ、休んでること、こんなに気にしてたんだ…。

「嫌味っぽい言い方してゴメン。
まあ追い返されたってことは、気にせず休めってことだよ。
いい上司さんじゃないかw
ところで、はいこれ。ケーキと、その他いろいろ」

「いろいろ?」


「うん、あっためればいいだけのやつ。
いらなかったら保存食にでもしてね」

「いらなくない…すごくありがたい」

「じゃ、早くよくなれよ!」

「え、ちょっと待った。あの、お代」


見れば、彼の手にはお財布が。

「いいよいいよ、お見舞いだよ。
サンタさんからの生活感あふれるプレゼントじゃw」

「え、でもそれじゃあ……えーと、風邪うつるの覚悟で上がっていく?」

「ぜったいにヤダw早く寝ろw」

「だよね。えーと、その、あれだ…
こんど酒……は、そっか、飲まないのか。
じゃあ、年明けに、食事でも、ご一緒に」



なんだかやたらしどろもどろだった。
あちゃー、病人に気をつかわせてしまった。


「うん、楽しみにしてるわw
でもまずは、しっかり休んで風邪治せよ!」


このとき、食事のことは社交辞令としか思ってなくて
なんか人助けしちゃったなあ!くらいの感覚だったのでした。

そんなだったので、なんの期待もせずに年末年始をすごして
普通に仕事始めを迎えて、やっとお正月気分も抜けてきたころに
突然メールでM君から食事のお誘いがきたときは

「ずいぶんと律儀だな~」

と思ってしまった。
それとも、借りは返さないと気が済まないのかな?

どっちにしろ、彼とまたおしゃべりできるのは、私としては楽しみだった。
なので喜んでお受けしよう、とは思ってたんだけど……

一つだけ、気になることがあったんだ。


それは、お見舞いを届けに行ったM君のアパート。

失礼だけども、ボロだった。
それも、かなりのボロ。
着くなり「ほんとにここ!?家賃いくら!?」と思ったくらいボロ。

この業界、ものすごくお給料がいいわけでもない。
もしかしてM君、あまりお金に余裕がないんじゃないか?
だってあのとき、すごくしどろもどろになってたし…
無理して食事に誘ってくれてるんだとしたら、どうしよう?

だけどせっかく誘ってくれてるのに、そんなんで断るのもないよねえ…。

と、まあ結局は、ご馳走になったんだけどさ。


今こうして振り返ってみると、私はこのときから、
なにかボンヤリと感じとってはいたんだなあ、と思う。

そしてそのボンヤリは、やがて段々と形になっていくことになる。


M君の風邪はかなりしつこかったらしい。
まずはじめに、お礼が遅くなったことを謝られた。


「参ったよ、年内で治ると思ってたのに。もう歳なのかなあ」

「栄養失調なんじゃないのー?」


冗談めかして言ったけど、M君、わりとやつれてた。


「俺、体調不良が顔に出るんだよね。
でもあの差し入れは本当に助かった、実は食料が底をついてたので」


「ほかに誰か、助けてくれる人いなかったの?」

「うん、誰もいなかったねえ…」

「えー?イケメンのくせにー?」

「イケメン全員にそういう人徳が備わってると思うなよな」

「でもほら、そんな時に一番頼りになる人がいるじゃない」

「ん?誰?」

「家族だよ。電話すればよかったのに」

「あー。いまちょっと疎遠になっててね」

「あ、ごめん、そうなんだ」

そんなあいさつ代わりの会話をさっくり交わし、話題はまた音楽方面へ。

話してるうちに、昔CMで聞いてメロディーしか覚えていなかった曲を
なんとM君がCD持っていることが判明して、私、大はしゃぎ。


「もうずっと気になってたんだよー!
お願いです、CDを貸してください神様!!」

「…これでイヤだと言ったら鬼だよねw」


「うおおお、帰りにアパートまで取りに行ってもいい!?」

「えーと……後日じゃだめかな?」

「はああああン?なんでよ???」

「借りる分際で態度でけえなw
ずいぶんと聞いてないから、きっとすぐには出てこないよ。
一体どこに埋もれているやら…」

「そんなの、一緒に発掘するよ!」

「いや、勘弁してよ」


ピシャリとM君に言われて、はっとした。
私、はしゃぎすぎて今かなり図々しいこと言った。

そうだよな…。
私はM君の彼女でもなければ、友達ですらない。
ただちょっと差し入れをして、その借りをM君はこうして返してくれた。

CDを借りたら、返すときにまた私と会うことになる。
ましてや部屋に押しかけて、一緒に探すとか。

もう彼は、私に付き合う義理はないんだ。
ちょっと話が合うくらいで、図に乗っちゃいけない。


「………ごめん!なんか私、馴れ馴れしいねw
CDは、発掘終了後に気が向いたらでいいやw」

「え?」


M君はきょとんとしてから
私の態度急変の理由をすぐに察したようだった。


「そっか、ごめん、言い方悪かった。そういう意味じゃない。
一緒に発掘してくれる、その気持ちはありがたいんだけどね…」


「……?なに?」

「………部屋が、とても汚いのですよ」


何故かゲンドウポーズで深刻な表情をするM君。


「そう?こないだお邪魔したときは、綺麗だったじゃない」

「あれは人に見せるエリアだから…その奥の生活エリアが、ちょっと」

「エリアわけされてるんだwでも私も人のこと言えないからなー」

「いや…いま喪子が想像した汚さとはレベルが違う。
その程度の覚悟で入ったら、きっと後悔するよ」


「なんだそれ、どんなレベルだw」

「えーと、TSUTAYAの倉庫にホームレスが住み着いたレベル?」

「うわあ、なんかすごい具体的に映像が浮かぶwww」


「俺はもう、年単位で自分の部屋の床を見た覚えがない」

「ちゃんと掃除しろw」

「そこで掃除って言うのがね…必要なのは産廃業者だよ」

「威張るなwww」

「なんなら、自分の目で確かめてみる?」

「え………いいの?行っても?」

「いいの?って、俺が聞きたいよ……ほんと、マジで汚いぞ?」



42: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 19:20:37.91 ID:LZSY7jKs.net
とりあえず投下してるけど、読んでもらえてるのかな…



43: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 19:23:15.17
ノリが寒い



47: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 19:24:51.19 ID:LZSY7jKs.net
>>43
そうか…
でも大量に書き溜めてしまってるんだ…



46: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 19:24:11.99
あげときゃ誰か見てるからいちいち気にすんな



49: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 19:26:05.50 ID:LZSY7jKs.net
M君の部屋は、汚いというのとはちょっと違った。
想像してたような、ゴミとか洗濯物が散乱してるような不潔さはなかった。
一応、床も部分的には見えてたしね。

ただ、部屋のわりには大きすぎる本棚が一つ。
そこから溢れた本とCDとDVDが、床にうず高く積まれていた。
彼は、読書と映画と音楽をこよなく愛する、かたづけられない男だった。
なるほど…TSUTAYAの倉庫ね。

私は映画は全然詳しくないけど、本は好き。
だからM君の蔵書量には驚いた。


「そっか…高校生のころも読書家だったもんね」

「忙しくて、いまは全然だけどね」


「あーでもこれで、えっちいのとか発見しちゃったら気まずいー」

「そこはひとつ、大人な対応で…」

「……………えええっ!M君、何これ!?」


見つけたのは、えっちいのではなくて、とある画家の画集だった。
私がご予算的にマゴマゴしているうちに
販売終了してしまった限定版が、無造作に床に積まれていた。


「うわー!これ高かったでしょ?」

「あれ、喪子もその画家、好きなの?」

「うん!しかもフルセットだ~。すげ~」

「まーそういうのに散財できるのが、独身の醍醐味ですよ」


彼はその他にも、高額そうな画集から中古の文庫本までを、ガンガン床に積んでいた。
DVDも、私が全然知らない映画のボックスがいくつも並んでいた。
そして目的のCDはというと、一目で捜索を諦めるのにじゅうぶんな状態だった。


M君への貧乏疑惑は消えた。
これだけ趣味のものを溜め込んでいるとなると、生活苦ということはないだろう。
アパートがボロいのは、趣味にお金を回すためなのかもしれない。


堆積物を夢中で眺め倒している私に、M君が言った。


「なんか、久しぶりに自分以外の人が部屋にいるの見てると
部屋の惨状が客観視できて、自分でも引くわ…」


「そこまで卑下することないよ、帰ったら靴下履き替えるけどw
でもこの部屋、なんだかすごい落ち着くんだよねー」

「さては、何もない広い空間が苦手なタチだな?」

「ああ、それだw」


まるで図書館のようなその部屋は、乱雑ではあったけど
それなりの秩序があって、妙なバランスで落ち着いていた。
なんだかそこに、M君の内面が現れているような気がした。


「じゃあ、CDはまた今度ってことで、本日はご満足いただけましたかね?」


「うん、あのねM君、お願いがあります」


ちょっと思いきってみた。
「ん?なに?」

「私、またこの部屋にお邪魔しちゃ駄目かな?」

「駄目だよ」


「えっ、即答かい!」

「うん、ごめんね」


「じゃあ、私と友達になるとかは?」

「…友達」

「うん、友達。その先の下心、全くない」

「友達……は、どうかなあ」



M君は、飲み会の最初のときに見せたみたいな苦笑いをした。
「俺、友達はもう増やさないことにしてるからなあ」

「え、なにそれ。じゃあ彼女なら?」

「さっき自分で下心ないって言ったじゃないかw」

「うん、だって本当にM君の彼女になりたいとかじゃなくて
ただ単に仲良くしたいと思ってるんだよ。
M君、M君と私は、かなり気が合うよ」

「お。さすがですね、その押しの強さw」


この「さすが」は、私の職業柄をさしての言葉です。
押しが強いってより、言いたいことは言っちゃわないと気が済まないだけなんだけどね。


「だけど、今は仕事じゃないからね…
断られても押しかけたりしないから、大丈夫w」


こういうときの立ち直りの早さは、喪女歴の長さが物を言います。
さーて、あのCM曲のタイトルがわかっただけでもヨシとしよう、
なんて思いながら、なるべく上手にさっぱりと立ち去る準備をしていたら。

「あのさ………
俺、友達って、"なりましょう"ってなるもんじゃないと思うんだ」



そんなこと言われなきゃ、こんなこと言う気なかったんだけど。


「うん、まーそうかもしれない。
でも、"増やさない"って決めるもんでもないと思うよ?」


よくわからなかったけど、この会話はM君にとって、なにか重要なものらしかった。


「そっか………ごめん。
なんか俺、面倒くさいこと言ってるな」


「ううん、私が変なこと言い出したからだよ。
こっちこそ、気を遣わせちゃってごめんね!
私としては、今日が楽しかったからオッケーさw」

「CD、見つかったらメールする」

「えー、友達じゃないのに?w」

「………うん」


このとき、M君が何をどう考えてたのかは知らない。

だけどその後、CDが見つかったってメールがきて、また外で食事して
それからはなし崩しに、なんとなーく呼んだり呼ばれたりして
時にはM君の部屋で、語らったりして。

つまり、私たちはいつの間にか、紛れもない友達関係になっていた。
まあ私としては、最初の望みが叶ったわけだから、何の文句もなかったんだけど。


でもだったら、あの日のM君のきっぱり拒絶は、一体なんだったんだろう……?


という疑問と戸惑いが、私の中になかったわけではない。
だけどそこに触れるのは大人げない気がした。

私はいろんなことをあんまり深く考えない、単純ノンキ。
でもM君は反対で、繊細で思慮深く、ちょっと屈折したとこのある人。

だからきっと、私では思いもつかないことを考えていたんだよ、うん。


正直に言います。

ガサツな私からすると、M君のそんな繊細さ、思慮深さは、
時に複雑すぎて面倒で、臆病さを感じさせもした。

前にも書いたとおり、私の好みは、見た目も性格もごつくて男らしい人。
イケメンで、優しくて、控えめで、線の細いM君は、その対極。
失礼ながら、私には彼がただの気弱な優男にしか見えていなかった。

同じように、M君だって私のことを
ガハガハよく笑ううるさい女って程度にしか見てなかったと思う。
そんなふうに、私たちは最初、お互いを異性としては全然見てなかったんだ。

それがあることをきっかけに、私の気持ちが大きく動いてしまったのです。

飲み会からは、半年以上たったころだったかな。
M君の車で、ちょっと遠くの美術展に出かけたことがあった。

外で会うときはいつも現地集合、現地解散だったので
おー、なんだかデートみたいですぞ!と、ちょっと浮かれた私。
それでバチでもあたったんだろーか。

帰りに寄ったコンビニで、私は自分で出したゴミを捨てようと、鍵を借りて車に戻った。
ゴミの入ったビニール袋を取って振り返ったら、隣の車に袋が当たってしまった。

そしたらその車から、わかりやすいDQNが降りてきた。二人も。


「おい!いまそれぶつけただろ!」

「すっ、すいません!」

「傷がついただろうがああああん?」


「え、え?」


DQNはぶつけたところを見てもいない。

し、しまった~、からまれた…

おどおどしてるところへ、店内からM君登場。


「どうしたの?」

「え、あんた、こいつのツレ?」


「そうだけど、なに?」


DQNは、私が女一人でからみやすいと思ってたんだろう。
M君にちょっとたじろいだけど、方針は変えないみたいだった。

私が言うのもなんだけど、優男代表みたいなM君です。
いける、と思ったんだろうな。


「こいつがその袋を俺の車にぶつけたんだよ。傷がついたから、直してもらうから」

「ぶつけたの?」

確認してくるM君。

「うん…ちょこっとぶつけちゃった…」

「なにが入ってるの?」

はい。お菓子の空き袋と、空のペットボトルです。

「これで傷がつくって、一体どんな勢いでぶつければ……」


M君はDQNの車のわきにしゃがみこんだ。


「どのへんにぶつけた?」

私に尋ねるM君。

「えーと、たぶんこのへん…?」

「どの傷だかわかる?」

DQNに尋ねるM君。

「そんなんわからねーよ。そこらの傷、全部だよ」

「一度ぶつけただけでこんなに傷がつくはずないだろ。どの傷かって聞いてんの」

「わからねーから全部直せっつってんだよ!」

「なんで因縁つけといてンなこともわからねーんだよ!」


………逆ギレとな!?


M君は突然、ガラの悪い人にジョブチェンジしていた。

下から睨むM君、ああン?って感じで詰めよるDQN。
へにゃちょこ優男だと思ってたM君だけど
そうやって凄むと、顔キレイなぶん、怖いです。


それにしても、なんか見たことあるなあ、この構図。

………ああ、龍虎図だ。


「ぶつけたって認めといてバックレる気かよ!」

「直さねえとは言ってねえだろ、こっちでつけた傷はどれだって聞いてんだよ!」


な、なに言ってんの、M君!?
やめてー!お願いだから煽らないでー!
争いより愛を、喧嘩売るより通報を!

と思ってたら、DQNは二人でなにか相談しはじめた。


「あー、もうめんどくせーからいいよ。
俺ら、ヤクザの知り合いいるから。いまから呼ぶから」



えっ、リアルで初めて聞いたけど…本当に言うんだ、このセリフ!


「わかった。待つから早く呼んで」


えっ、待っちゃうの!?!?


M君は立ち上がると、私の手を引いて車とDQNから少し離れた。
するとDQNは、また二人でごちゃごちゃなにか言ったあとに

「今日はもういいよ、めんどくせー」

とか言いながら、車に乗って行ってしまった。


ぽかーん…。
いないんだ、ヤクザの知り合い…


私は車の中で猛烈に謝った。


「ごめんね!迷惑かけて本当にごめん!」

「べつに喪子のせいじゃないよ。それより、大事にならなくてよかった」

「あのー……M君、ひょっとしてこういうのに慣れてる…?」

「人聞き悪いなー。内心ビクビクでしたよ」

「でも、やけに落ち着いてなかった?」

「うーん。俺、高校卒業してから、あちこちふらふらしてた時期があるんだけどさ」

「ああ、バックパッカー?」

「てほど本格的でもないけど。
それでトラブルに巻き込まれたときの対応覚えた」


M君いわく、因縁をつけられたときは

「抵抗しない、同意しない、相手と同じ人格になる」

が鉄則だそうです。


「だけど、直さないとは言ってないって、同意になるのでは…」

「でも直すとも言ってないし」

「き、詭弁だあ…」

「結果オーライ」

「でもさ、本当にヤクザ呼ばれたらどうするつもりだったの?」

「まー呼ばないでしょうよ。
素人相手にタカリ失敗しましたって言いふらすことになるし。
それよりも、あそこで弁護士呼ぶぞって言われる方がよっぽど怖いわ」

イケメンで、優しくて、控えめで、大人しくて、気弱な優男だったはずのM君。
確かにそれが彼ではあるんだけど、でも、それで全てじゃあなかった。

思いがけず肝が据わったところを見せられて
私は初めてM君を「かっこいい」と思った。
サビついていたマイハートが、ゴロンゴロンと動き始めた。


吊り橋効果もあったんだろうけど、私はM君に恋をした。

言いたいことは言ってしまわないと、気が済まない性分の私。
これまでそうして何度となく玉砕してきたわけですよ。
でもこの時は、そのまま突っ走ろうとする自分を引き止めるものがあった。

それはチラチラと見え隠れする、M君の屈折した思考の根っこにあるものだった。
一体それが何なのか、私には全く理解できていなかった。

そんなミステリアスなところもステキ…
なんていう乙女な恋愛観が、残念ながらない私には
彼のミステリアスさについて、一つの可能性が思い浮かんでいた。


M君ってさ、ひょっとして…………ゲイなんじゃないの?


別に彼は、ナヨナヨしてるとか、オネエっぽいとかじゃあない。
だけど、普段の動作や食事のマナーなんかに
男性特有なワイルドさっちゅーか、下品さがなかった。

ごめんね、男の人を貶しているわけじゃないよ。
でも私はそういうところに、男らしさを感じるわけさ。



68: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 19:34:41.06
すまん、長すぎるからちょっと3行に簡潔にまとめてくれんか?
明日から仕事でさ…すまん…ホントはメッチャ読みたいんやけど…



71: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 19:36:42.56 ID:LZSY7jKs.net
>>68
残念、それはムリ
おことわりしたとおり、ものすごく長い



69: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 19:35:03.61 ID:LZSY7jKs.net
彼がゲイだとすれば、最初に食事に誘ってくれたときのしどろもどろさや
私が友達になりたいって言ったときの即答拒否にも、納得できる。

女慣れしてる様子は単なるカモフラージュで
ほんとは私と二人きりで食事するのに抵抗があったんじゃ?
私が「彼女になる前に、まずはお友達から」と企んでると思って、警戒したんじゃ?

自分がゲイだとバレたくなくて、あんな曖昧な態度をしてたんじゃないか?
だけど私にその気がないとわかって、気を緩めてくれたんじゃないだろーか?

それに、あの顔と性格で女っ気が全然ないっていうのも、ずっと不思議だったんだ。

過去の恋愛話を聞いたら、「いやまあそれなりに~」
好みのタイプを聞いたら、「気に入れば誰でも~」
なんて、いつもゴニャゴニャ誤魔化されてしまったし。

そんなのも、M君がゲイならば、なるほどな反応だった。



………マズイ。これはマズイぞ。
いくらなんでも、三十路目前でゲイに恋するのは、ダメージ大きすぎ。

傷が浅いうちに確かめなくちゃ…
でも必死に隠してる本人に直接聞くのは、やっぱり、ちょっと…


とAちゃんにこぼしたら、「いい肴になるな!」ってとこで
美術部女子会が開催されることとなったのでした。


「へえええ~、喪子がM君とはねえ~!」

「あれ?でもあんたの初恋の人、山崎努じゃなかったっけ?」


「それはそれ、これはこれだよ!」

「はー。人は顔じゃないんだねえ…使い方間違ってる気がするけど」

「でもそのDQN話はわかるなー。それは惚れるかも」

「それにあいつ、化けたよねえ。ずいぶん丸くなってたもん」

「高校生のころは、みんな遠巻きにしてたもんねえ」

「そーいえばはじめて話したの、あいつがモリエール殺したときだったなw」



準備室にあったモリエールの石膏像を、M君が落として割ったって意味ね。


「あったねー、そんなこと!」

「そうそうw
O君がモデル頼んだときも、M君最初いやがってたのに
O君贔屓だったしまピーが、モリエール殺しで脅迫してさ。
無理矢理モデルさせられてたんだよ、あれw」


「へええ。じゃあ、しまピーが二人の仲人じゃん」

「なに?仲人ってことは、M君とO君はそういう関係なの?」

「知らなーい。でも妄想するには一番手っ取り早いじゃーん」


「ちょっとー、根拠のないこと言わないでよー。
まだそうだって決まったわけじゃないんだし…」

「でもあれだよ?卒業してから、M君はO君ちで半同居してたみたいだよ?
こないだD君が言ってた。M君に連絡したい時は、O君に電話してたって」


「ほー。M君がO君ちに押しかけてたってことかあ。
で、今やO君が一児のパパってことは、M君の片想いかあ…」

「あ、でもそのころは、O君フリーでM君には彼女いたってさ」

すごい、すごいよ、女子どもの情報収集力は。
M君との個人的なお付き合いの中で、私では全く得られなかった情報を
たった三時間程度の飲み会で、ここまで把握してるなんて。


「なんだ、よかったー。M君、彼女いたんじゃん!」

「えー?でもほら、その後発症したかもしれないしー」

「そーそー、別に相手はO君じゃなくてもいいわけだしね」


「そんなあああ…」

「まあなんにしても、あの顔ならゲイでも納得するよねー」

「えっ、そう?なんかそれにしては、色気が足りなくない?」

「あー色気かー。色気はないなー」


「でもそれだったら、ゲイには全員に色気があるのかって話よ」

「なんだよー、結局どっちなんだよー」

「だって、M君がどっちだろうと、私らには全然関係ないもん」

「あんたねー、こんなとこでウダウダ言ってる前に
確かめる一番手っ取り早い方法があるでしょ?」


「そうだよ、とっとと告白してきなよ」


「うん。飲み会のときは、なかなかいい雰囲気だったよ?」

「「「頑張れ喪子!彼氏いない歴=年齢に終止符を打つんだ!(そして報告よろ)」」」



まあ、そうするしかないってことはわかってたんだけどさ。
彼女らに背中押してもらった結果、私はやっと本来の玉砕精神を取り戻して
ある日、M君の部屋でアタックした。


「M君、お話があります」

「はいはい、なんでしょう?」


どうせまた、あの本買ったら貸してでしょ?みたいな態度のM君。


「好きです。付き合ってください。
友達としてじゃなく、男性として好きになってしまいました」

「…え」


まさに、鳩が豆鉄砲な顔になるM君。
いまさらのように心臓がバクバクしてくる私。


「え、え…え、だって、えええ…?」



うろたえるようなM君の声。
相当マメデッポーだったのか、しばらく言葉が出てこないみたいだった。

「でも、ほら、なんか、あれだよね?
……喪子は俺のこと、男として見てなくなかった?」


はい!?
バレてたの!?


「うん、まあ……ごめんなさい。最初はそうでした」

「だよね?それがなぜ?いつから?」

「DQNにからまれたときから…」

「え?…あー、あれね…」

「あのとき、かっこいいなと思って…」

「ふうん、そっか」

そっけない返事が悲しかった。
私にとっては大きな出来事だったけど、M君にしてみれば大したことなかったんだな…

と思ったんだけど。

M君、手のひらで顔をパタパタあおぎだした。
表情は変わってなかったけど、赤面してたっぽい。

「いやー…あんまり突然なので、驚いた…」

「う、うん、突然ごめんね」

「いえいえ………あ、そっか。
俺、女の子から告白されたの、初めてなんだ…」




…え?
な、なにそれ、どういう意味なのそれ!?


「だだだだだって、いたんでしょ彼女!?女の!!」

「いたけど…いつも俺から告白してたから」


あ、なーんだ、そういう意味かあ!

ほっとする私。
だけどM君はそのまま黙りこんで、私がいるのを忘れたような長考に入ってしまった。

しばらくはその沈黙に付き合ってたんだけど、途中で堪りかねて
「あのー、それで、どうでしょうか」と先を促す私。

「あっ、うん、あの…返事はちょっと…待ってもらえる?」

え。
な、なんで待つの?

やだ、死刑宣告を先送りにされてるみたいで、やだ。
いますぐここで返事してほしい、たとえ断られても。

…なんては言えず。


「はい、わかりました」


私はこの日、すごすごとM君の部屋を後にしたのでした。


結局、M君の返事が聞けたのは、それから一週間後の日曜日だった。

部屋に呼ばれたってことは、オッケーもらえるかも…?

なんて期待はあまりしないようにしながら、M君のアパートへ。
M君いわく「キレイなエリア」のダイニングで、テーブル挟んで向かい合う。

M君はなんだかオドオドしていて、話し出すきっかけが掴めないみたいだった。
それを見ていて、「あ、これはダメなんだな」と諦めがついた。

まったくもー、男ってこういうときはホント駄目よねー!

なんて自分を奮い立たせて、私から切り出した。

「なんか、困らせちゃったみたいでごめんね!
私はただ、自分の気持ちを伝えたかっただけだから。
これからも友達でいられるなら嬉しいし、もうそれも迷惑ってことなら
こっちからありがとうって言いたいくらいだよ!」

暗くしたくなくて、たぶん結構大きな声出てた。
M君はびっくりしたみたいに

「いやいや、困ってない。
困ってないし、迷惑とかそんなことは全然思ってない。
喪子は何も悪くない、喪子の気持ちは本当に嬉しいんだ。
ごめん、ただちょっと、俺のほうに問題があって…」


「問題って…?」

「うん…あのー…
あまり綺麗な話じゃないから、ちょっと話すのに勇気がいる…。
誰にも話したことないから、上手く整理がつかなくてさ…」



あー………。

こないだの話で、もうそっちの問題は片づいたとばっかり思ってたけどなあ。

クロだわクロ、こいつあークロだよコンチクショウ。
女子ども、これが結果だー!うわーん!!!



M君は、ちょっと立場忘れてイラっとくるぐらい、何かモゴモゴ言っていた。
それで、途中で口を挟んでしまった。

もう、スッキリ逝かせてくれい!と思っちゃったんだよね。
それに、そんなに隠していることを
なにもわざわざカミングアウトさせることもないしさ。


「あのさ!
話したくないんだったら、話さなくても大丈夫だから!
イエスかノーかでいいの、それだけで納得できるから!
はっきり言って、フられるなら、なに言われても一緒!!」

「あっ、ごめん。イエスです」




………………はい?
はいいいいいいいいい!?


聞き間違えたわけじゃない。
あれだけモゴモゴしていたM君が、そこだけはっきりと言い切った。

だけど手放しに「やったー!」なんてなれるわけがない。
「カモフラージュのため」なんて言われたら、私も考えなくちゃならない。

「でも本当に付き合うかどうかは、これからの話で喪子が決めた方がいいと思う」

「あ、あんまり脅かさないでよねー…
うん、わかった。ちゃんと話聞くよ」

「俺、人格にかなり問題がある」


……ん?人格?
性的嗜好じゃなくて、人格?


「こないだ、告白されたことないって言ったよね。
だけど、フられたこともないんだ。
全部俺からフってるんだ、俺から告白してるのに。
一年くらいたつと、どうしても別れたくなってしまう」


「別れたくなるって…嫌いになっちゃうってこと?飽きるとか?」

「いや、そういうことじゃなくて………」


M君が言い淀む。
かなり言葉を選んでるみたいだった。


「………あのですね、憎悪が湧いてくるんですよ」



引かれたかな?という感じで、M君は私の様子を伺っていた。


「憎悪…って、何かされてってこと???」

「いや、何もされなくても、なんの理由もなく。
相手は全然悪くないのに、急に別れたくなるんだ。
それで、別れるのは全部お前の責任だ、みたいな雰囲気にもっていく。
それまで気にしてなかった些細な欠点を責めたりして
直すから別れないで、みたいなこと散々言わせてから、おもいっきりフる。
…………あー、駄目だ…サイテーだ、反吐が出る…」



M君は頭を抱えながら、さらに続けた。


「しかも、そうやって別れた後、ものすごくスッキリするんだ。
むしろ、そのスッキリ感がほしくて別れるんだと思う。
だからたぶん、俺が女と付き合うのは、別れるためなんだ」


え~っと………なんだろう、これ…?
もしかして、カモフラージュより最悪なケース???

「俺はたぶん人と付き合っちゃいけないタイプなんだと思う。
人付き合いをゲーム感覚でしかとらえられない。
悪いとは思ってるのに、そんなのを何度も繰り返しててさ。

そういう自分が嫌で嫌でしょうがないんだ。
だからこの二年くらいは、誰とも付き合わないでいた。

だけど気づいたら、また喪子にゲーム仕掛けるようなことをやっててさ。
こっちからわざわざ電話したり、食事に誘ったりとか…
ごめん、絶対やっちゃいけないと思ってたけど…

だけど喪子は、俺に恋愛感情もってなかっただろ?
友達としてなら、そういう関係にはならないんだ。
だから、安心して付き合ってられたんだ」


ああ、そうだったのか。

最初のころの、誘われてるのに突き放されるような
わけのわからない曖昧な態度は、それだったんだ。
ゲームを仕掛けたい気持ちと自制心とが、交互に出てきてたんだ。


「友達として付き合ってきて、喪子と話してると楽しいし、一緒にいたい。
だけど、これ以上の関係になると、俺は絶対に喪子にひどいことをする。
治したいとは思ってるけど、治せなかったら、そのとき傷つくのは喪子だ。
それだけは避けたい、なんとかして自分を変えたい。
だけど自分が変われる自信が全然ないんだ…」

 
今ならピンときたかもしれない。 
M君のやってることは、モラハラだって。

だけど当時は、そういうのは組織の中で起こるものって意識だった。
個人の関係に、そんなものが働くなんて思ってもいなかったんだ。

経験値の低い喪女の浅はかさと、笑ってください。

私にはM君が、ちょっとこじれた恋愛観をもっている人、
というふうにしか見えてなかったんだ。
むしろ、屈折してるのはそこだったんだー!と
M君の正体が見えた気にすらなってた。

本人にもモラハラの自覚はなかったけれど
この時のM君、かなり勇気を出して、率直に話してくれてたと思う。
でもそのM君の勇気をまるっと無にしたのは
惚れた弱みと、同情心フィルターで彼を見てしまった私だった。


「M君ってさー、な~んかそういう臆病なところ、あるよね」

「うん、気は小さいね…」

「だけど、あのDQNの時みたいに、大胆なところもあってさ」

「いや、あれは緊急事態だったから…」

「だからさー、そんなふうに、人って一面的なもんじゃないじゃない?
M君は、人付き合いが下手なのかもしれない。
でもそれをちゃんと自覚してて、客観的に分析できてるわけじゃん?」

「だけど治せてないし、俺は口ばっかりだよ」


「M君、M君は、自分を型にはめ過ぎてるよ。
そうやって、自分は駄目だって強く卑下することで、
悪い自分を囲っちゃってるように見えるよ」

「………」

「私は、それでもM君のこと好きだよ。
だからさ、付き合ってみようよ。
自分を変えたいって思ってるM君を、私は信じるよ。
それにこれだけ正直に話してくれたんだから
もしこの先、私が傷ついたとしても、それは私の選択だよ」


「はーーーーー」と、M君が手で顔を覆ったまま
体がしぼむくらいに大きな息をついた。


「え、なに?まだなんかあるの?」

「いや……今ので気が抜けた…」

「そんな緊張してたの?」

「うん、絶対引かれて嫌われると思ってたからさ…
人に話すのも初めてだし、どんな反応されるかわからなかったから。
だけど喪子とは、ちゃんと付き合いたかったから
なおさらちゃんと話さなきゃいけないと思ってたんだ。

…どうもありがとう。これからもよろしく」



喪女にとって、これほどの告白の言葉はありませんでした。

こうして私は、M君の言ったことについて深く考えることもなく
彼とのお付き合いを始めたのでした。


後々、泣くことになるとも知らずに…。


ただの友達だったあいだ、私はM君の邪魔にならないお付き合いを心がけていた。
M君はかなりの仕事人間で、不規則で忙しい業界ではあるけど
私の知る中でも、彼は一、二を争うハードワーカーだった。
年末繁忙期に休んでたあれは、彼にしてみれば相当なことだったようだ。

けれど付き合い始めてからは
私のために彼の方から仕事を調整してくれるようになった。
私はそれが嬉しいと言うよりも、ほっとしていた。
知れば知るほど、M君の私生活のメチャクチャさに驚かされていたから。


一番驚いたのは、彼に「一日三食」という習慣がなかったことだ。

朝食を抜くとか、忙しくてお昼とるヒマもないとか、そういうんじゃない。
普通はお腹が減ったら何か食べるっていうのが当たり前だよね。
でも彼の中では、お腹が減ったら我慢するのが普通のことだったんだ。

少食なわけでも、好き嫌いが多いわけでもない。
私は料理が好きで、よく彼の部屋でちょっとしたものを作ったりしたけど
出されたものは、美味しそうに平らげてくれるんだ。

だけど、自分から進んで何か食べようとすることは、あまりなかった。
食事って概念がない、とでもいう感じかな。
冷蔵庫はいつも空っぽで、部屋の中の食べ物の気配は、いつも生ゴミすらなかった。



94: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 19:53:28.47 ID:LZSY7jKs.net
その他にも、エアコンが壊れっぱなしなのにヒーターや扇風機がないとか
テレビが地デジ化してなかったりとか。
彼の部屋で、現代的で文化的で平均的な、
つまり常識的生活をしようとすると、いつも何かが足りない。

仕事に夢中な独身男性の部屋なんて、きっとこんなもんだろうな~。

………て思おうとしたけど、日が経つにつれて、段々と違うことに気づいた。


一言で言えば、彼は自分を大事にできない人だった。


私と一緒だと、私が快適にすごせるように、いろいろと気を使ってくれる。
だけど一人になると、たちまち自分が快適になることを放棄してしまう。

バリバリと仕事をこなし、ゲラゲラ笑いながらおしゃべりしてくれる、
その裏でM君は、嘘のように無気力な生活を送っていた。
暖房のない部屋で、冷たい体のまんま空腹をやり過ごすような、そんな生活。


心配というより、気がかりでしょうがなかった。

だって彼は、ものすごいナチュラルに、さも当たり前というふうに
そんな修業中の僧侶みたいな生活をしていたんだ。

私は、なんだか彼がいつの間にか消えてしまうような、漠然とした不安を感じていた。
すごく身近にいるのに、掴み所のない距離の遠さみたいのを感じていた。

一体何が、彼をそんな生活に駆り立てるんだろう?

……きっとM君は、ちょっと変わった人なんだ。
彼のおかしい部分は、私が陰でフォローしてあげよう。
もしかしたら、それが私の役目なのかもしれない。

せっかくこうして付き合えるようになったんだ。
そういう部分で私が世話を焼いても、もうおかしくはないはずだ。
心配してるくらいなら、そうやって少しずつ生活を改善してあげればいいんだ。

そう考えることで、私はその漠然とした不安を拭おうとしていた。



ある日のこと。
私はM君の部屋で、ホットケーキを作っていた。
するとM君が、私が買ってきたメープルシロップを片手に呟いた。


「子どものころ、これ一ビン舐めて気持ち悪くなったことがあったなあ…」


「一ビンも!?プーさんかwww」

「いやー。なんだか、甘けりゃなんでもよくってさ」

「挑んだねえwほかに何かおやつがなかったんかいw」

「うん、なかった」

「あー。甘いもの禁止だったんだー」

「いや、おやつの習慣自体がなかったから」


「へえ、変わってるね。でもそれじゃ、お腹空いちゃわなかった?」

私としては、子どもは胃が小さいから間食が必要、というのが
世間の常識だと思ってたので、純粋に不思議になってそう聞いたんだった。

だけどそれに対するM君の答えは、とても不自然なものだった。


「ま、その時はたまたま、おやつがなかったんだよ。
要するに、こんなもん一ビン舐めちゃうようなアホガキだったってことですなw」



……でもさっき、自分でおやつの習慣がなかったって言ったんじゃん?

というツッコミは絶対させない雰囲気で、この会話は終わった。

私としては、おやつのことなんか、どーでもよかった。
それより、何故あんなわかりやすい誤魔化しをされたのかが気になった。



彼は会話中に、そういう誤魔化しをすることが時々あった。
それまではなんとなーく流してしまっていたけれど
この会話は、何故か私をやたらザワザワさせた。

よく考えてみると、子ども時代や家族の話をしているときに
ああやって誤魔化されることが多かった。


そう言えば、以前、家族の年齢の話になったとき。
彼は誰の年齢も答えられなかったっけ。

生年月日を聞いたらしどろもどろになり、
干支を聞いたら「忘れた」と言っていた。

例えば、親の年齢が曖昧になるくらいのことは、まあ、あるとして。
でも家族全員の、誕生日や干支すら全然出てこないなんてこと……あるかなあ?



彼は以前、家族とは疎遠になってると言っていた。
私はそれを、喧嘩でもしてるのかな?程度に思ってたけど。

それならそれで、家族の愚痴くらいは出てもいいんじゃない?
でも、彼にはそれすらなかったんだ。


子どものころに見てたテレビとか、家族旅行でどこ行ったとか。
こんなことして叱られたとか、すごくほしかったオモチャとか。
親の田舎はどこかとか、イトコのダレソレがどーしたとか。

気づくとM君はそういう話を一切したことがなくて
私は彼のバックグラウンドを、全然、なんにも知らないんだった。

その日の話だって、子ども時代によくあるような、他愛のない失敗談だよ。
誤魔化して途中で切り上げなくちゃならないことなんて、別になんにもないじゃないか。


私は確信した。
彼は子ども時代や家族の話をすることを、徹底的に避けている……



そうやって考え始めたら、他のいろいろが次々湧き出してきた。


いつもは穏やかで笑顔を絶やさない彼が
ふとした瞬間に、ものすごく暗い目をしてること。
物音に敏感で、大きな音にビクッとすること。
たまにじーっと黙りこんで無反応になること。

「変な奴だなー」だけで流してしまおうとしてたけど、
私はもうずっと、彼への違和感をひそかに抱いていたんだ。


彼の、よく言えばストイック、悪く言えば貧しい生活。
ひょっとして、あれは子どものころからの習慣なんじゃないか?

M君の裏側に張り付いている、正体不明の何か。

私はそれを、貧乏なんだと思おうとしたり
ゲイなのではと疑ったりして、なんとか正体を暴こうとしてきた。
けど、その姿がやっと見えてきたような気がした。


「虐待」の二文字が浮かんでいた。


言いたいことは言っちゃわないと気が済まない私ですが
このときばかりは、さすがに慎重になりました。
ここはやっぱり、O君に話を聞くのが一番だと思って
さっそく飲み会の時に交換したメアドにメールしてみた。


「M君のことで、ちょっと聞きたいことがあります。
M君には内緒にしてほしいんだけど、いいかな?」


その日の夜に「どうぞ」と返信があった。


「M君って、ご家族とはどういう関係なんだろう?
疎遠だって聞いてるけど、喧嘩してたりするの?」


しばらくしてから、「違う」と返ってきた。


「喧嘩じゃないのか…。何があったのか、知ってる?」


「知ってる」とだけ送られてきた。


………電報かよ!



「よかったら教えてもらえないかな?
ちょっといろいろ、気になっちゃっててさ」


「Mと何かあった?」


少しだけ長いメールが送られてきた。

そこで、M君に漠然とした違和感や不安を感じていること、
それはもしかしたら、家族との関係からきてるんじゃないか?
と思っていることを送信したら。


「ちゃんと話したいから、今度うち来て」


「そんなご迷惑をおかけするわけには…電話じゃ駄目かな?」

「長電話の方が迷惑。
それと、Mについてはカミさんが詳しい」


「え?奥さん、M君と親しいの??」

「違う」

「じゃあなに?」

「来ればわかる」


メール打つの面倒でごさるの構えか……

こうして私は、O君宅へお邪魔することとなった。



O君の奥さん、Sさんは、四つ年上の美人さんだった。

新婚当時のO君夫妻は、ちょっとしたトラブルを抱えてしまっていた。
その解決にM君の職業知識が役に立ったため、一肌脱いでくれたらしい。
解決までの半年間、ときどきO君夫妻は自宅にM君を招いて
手料理を振舞ったりしていたそうだ。

SさんとM君は、そうやって何回か会ったことがある程度の関係。
それなのにSさんがM君に詳しいって、どういうこと?

最初のうち、私にはさっぱりわからなかった。



「喪子さん、共依存ってご存知ですか?」


Sさんの突然の質問から、その日の私の修羅場は始まった。


「………?はい。
夫から暴力振るわれても、別れられない妻、みたいなやつですよね?」

「そうです。なんかすごいピンポイントな例えですねー。
実は、私がそうなんです」


「え?…えっ!?」


思わずO君に目をやると、


「違~う」



と心の底から憤慨したような顔をされた。


「あ、私の場合、夫じゃなくて初カレです。
それまで優しい人だったのに、同棲した瞬間に豹変って、お決まりのパターンで」


「は、はあ…」

なんて答えていいのかもわからないし、
なんでこんな話聞かされてるのかもわからないよ…。

でもSさんは、戸惑ってる私に構わず続けた。


「まあ、知り合って一ヶ月で同棲ってのが浅はかだったんでしょう。
でも当時は、家族に暴力振るう父から逃げたくて
早く家を出ようって、それしか考えてなかったんです。

笑っちゃいますよねー。
暴力から逃げようとして、別の暴力に自ら飛び込んだわけですから」



…………重い!
聞き流すわけにもいかないけど、下手な反応もできないほど、重い!


「わ、笑い事ではないです…」

「あはは、そうですね。
変な話してごめんなさいねー、聞きたくなかったら言ってくださいw」


「いえ、そういうわけじゃないですけど…」

「えーとね、つまり何が言いたいかって言うと
喪子さんがMさんに感じた違和感がですね、よくわかるんですよ。
もっとも、身に覚えのある私には、違和感じゃなくて
"この人、仲間だ"っていうレーダーが働くと言いますか。
まー俗に言う、同じニオイがするってやつですかね」

「それは、つまり…M君も家庭で暴力を受けていた、と……?」

「暴力かどうかはわかりません。
でも家庭内で蔑ろにされてきた人って、なんとなくピンとくるんです。
初カレも問題のある家庭育ちだったんですけど、たぶん偶然ではなくて
ピンときたのを恋と勘違いしちゃったんですよね、お互いに」


「こいつ、会って二度めでMの家に問題があること言い当てたんだよ」


O君が口を挟んだ。


「あ、そうか…
O君はM君ちがどんなだったか、知ってるんだ?」

「うん、ある程度までは」

O君の話によると、M君の実家の様子は私の想像と違っていた。

かなり裕福で、社会的な地位が高いご両親。
職業柄か人望も厚く、もし悪い噂をする人がいても
その人のやっかみだろう、と言われてしまうくらい。
一見、誰もが羨むような恵まれた環境。

けれどO君がM君から聞いた生い立ちは、羨ましいとはかけ離れていた。

子どものころ、入退院を繰り返す体の弱いお姉さんに、両親は付きっ切りだった。
それでM君は、物心ついたころには、知人の家に預けられていた。
その知人夫婦には子どもがなかったため、とても可愛がられた。

と、なればよかったんだろうけど。

夫婦は、いずれM君を跡取りとして養子に迎えるつもりでいた。
となれば、預かっているこの時期に、厳しく躾けなければ。

親元を離されたM君は、"子ども"ではなく"跡取り"として扱われた。


両親はその夫婦に頭が上がらない関係だったので
M君を養子に出すことに同意していた。
けれど、社会的地位が高く、人望が厚い両親は
世間体というものをメチャクチャ重視する人たちだった。

「娘の病気のために息子を捨てた両親」
なんて、世間から後ろ指さされたら困る。

だから養子に出すのは、M君が大学生になってから。
大人になったら"自分の選択"ということで、
その実、有無を言わさず養子にいかせる。

二、三年でお姉さんの体調も安定したため
M君は家に戻され、ようやく家族と暮らせるようになった。

けれど既に両親にとっての我が子とは、お姉さんだけになっていた。
M君は一時的に預かっているだけの存在でしかなかった。

M君は預かり物として、ある意味では大事にされた。
お行儀や作法を躾けられるのはもちろん、学業や素行だけでなく
趣味や交友関係までもが厳しく制限される毎日。
M君いわく、それは教育というより、管理だったそうだ。

それでも、M君にだって自我は芽生える。

彼は高校受験にわざと失敗した。
彼にとって、初めての反抗だった。
知人夫婦が望む高校に落ち、滑り止めの高校に通うこととなる。

が、その高校生活で、彼は人間的に大きく成長する。

自由でのんびりした校風だったその高校で
彼は自分がいかに理不尽で窮屈な立場を強いられてきたかを自覚する。


そして高校卒業後の四年間は、O君宅を拠点にしてあちこち放浪。
定職にはもちろん就かず、バイトしながら食いつなぐ。
M君が意図していたかはわからないけど
そんな彼を見限って、知人夫婦の方から養子縁組を断ってきた。

子どものころに預けられてから、約20年。
M君は、これでようやく精神的にも家に帰ることができた。

その後、きちんと就職し、再び家族と暮らし始めたM君。
O君は、「やはり養子話がネックだったんだなー」と思っていたそうだ。

が、間もなくO君はM君から、引っ越しを手伝ってくれと頼まれる。
自立するのは年齢的になんの不思議もないので、O君も軽く了承した。
でもO君は、M君宅から引き上げるときのご両親の言葉で、なんとなく悟ったそうだ。


「私たちはお前を心配してたんじゃない、心配してやってたんだ」

「それなのに、この役立たず」



M君はすいませんでした、と一言残しただけだったそうだ。

「それまでさ、Mからの話でしか事情を知らなかったし
その話も曖昧だったりで、よく理解してなかったんだけどさ。
だけど両親のあの言葉聞いた瞬間、
なんつーかまあ……さぞ孤独だろうな、ってね。
家族に話しかけるの、あいつは常に敬語だったしなあ」


なんだか、じわっと喉の奥が痛くなった。


「あいつは、もうこの家にいるのは無理だと感じて絶縁を決意したらしい。
あんなもん見た後じゃ、俺はその決断に賛成だったし
あいつもこれで踏ん切りがついていいだろうなと思ってた。
でも、そうじゃないんだよなあ。

あいつにとって自分の存在価値は、いつまでたっても
大人の都合どおりの"いい子"であることなんだ。
だから、両親や知人の望みどおりにならなかった自分は、
家族にとっての裏切り者で、存在価値ナシなんだとさ」


「それ、本人が言ったの…?」

「うん。普段口が重いぶん、酔うと気前よくしゃべるんだよ、あいつ」


「なんだ、わりと簡単な構造してるんだ…」

「ただ、具体的にどんなことをされたかは話そうとしないから
暴力があったのかとか、そこらへんは俺も知らない。
精神的なネグレクトは、確実にあっただろうけど」



家族との関係の中で、「存在価値ナシ」というレッテルを自らに張ったM君。
彼の貧しい生活は、どうやらそこからきているようだった。
だったら、あとは彼のレッテルを「存在価値アリ」に張り替えればいいだけだ。
それが難しいことには、私には思えなかった。

だけど。


「そんな上手くいけばね…」


O君は、あんまり明るくない声で言った。


「そりゃ時間はかかるかもだけど…
でもちょっとずつでも、自信を取り戻していければいいんじゃないかな。
M君にはO君みたいないい友達もいるわけだし!
及ばすながら、私もいるけどさw」

「でも本当はMさん、自分に存在価値ナシとは思ってないですからねー」


それまで黙ってO君の話を聞いていたSさんが、また唐突になんか言い出した。


「Mさんは、存在価値ナシってレッテルが張られた自分に、
存在価値を見出してるはずですよ。
本当に自分に存在価値がないと思ってたら、人はなかなか生きていけませんから」


「え…どういうことですか…?」

「Mさんは、子どものころから親に半ば捨てられていて、ずーっと

"お前に存在価値はないよ"

というメッセージを受け続けてきたわけです。

言い換えれば、Mさんにとっては
自分には存在価値がないんだと認識することだけが
親と共有できる唯一のものであり、接点でもあったわけです。

要は、親にとっての"いらない子"であり続けることだけが
彼にとっては"自分の両親の子"であり続ける、唯一の方法なんです。
だからそのレッテルを無理に剥がしたりしたら、絶対に駄目だと思います」


「え…っと、意味がよくわからないです…。
M君は、自分から親に見切りをつけたわけだし、
もうそういうこだわりがなくなったから、縁を切ったんじゃ…」

「子どもはみんな、無条件に自分を認めて受け入れてくれる、
親という後ろ盾があるからこそ、安心して社会へ出て行けるんです。

親から認めてもらえなかった子どもは、いつまでも親を卒業できないまま
親に認めてもらうためだけの人生を送ることになります。

人生は、ステージをすっ飛ばしてクリアすることはできないんです。
今でもMさんは、親から認めてもらうことだけを生きる目的にしてると思いますよ」

「でも……親に認めてもらいたいなら、絶縁なんてしないんじゃないでしょうか?
M君がどんな生活をしていようと、両親はもう、M君のことを見ていないんですよ?」

「でもMさん、自分から絶縁することで、親の望みを叶えてあげてますよね。
いらない子である自分を親元から排除したし、なおかつ、
自ら家を出ることで、世間体を気にする両親の名誉も守った」


「えっ、そんな………こと、しますかね……??
それは単なる偶然というか…」


こじつけでは?という言葉が、喉まで出かかっていた。


「私がMさんのこと言い切っちゃマズイでしょうけど、
少なくとも私はしました、そんなことを。

父の暴力に耐えている母に、自分も暴力を受けることで認めてもらおうとしてたんです。
殴られた跡をさりげなく母に見せたり、いろいろしました。
思ったような反応はありませんでしたけど」


「そんな…」

「まあ、そういうことをやるのは無意識なんです。
親に認めてもらおう!なんて意識しながらやってるわけじゃない。

私の場合、カウンセリングでそういう構造がわかってなんとか離脱しましたけど
自覚がなければ、そこから離脱することはまずできないと思います。
だって自分の無意識が、好きこのんでやってることですから。

表面的には、どうして私ばっかりこんな目に遭うの?って思ってたんです。
それなのに、別れられないんですよねー。
やっぱり好きだから別れられない、なんて思ってましたけど。

でもほんとは違って、私にとってカレは
親に認めてもらうための道具でしかなかったんです。
親に認めてもらう前に、道具を手放すわけにいかなかったんですよねー。

一方的に私ばかり殴られて、はたから見れば被害者です。
でも、私はそうやってカレを利用して、むしろカレに私を殴らせていたんです。

カレが改心なんかして、殴ってくれなくなったら困るんです。
だから、絶対に反省や更生のチャンスなんて与えずに、ただ耐える。
カレはカレで、私を殴ることで何かしら得ていたんでしょうね。

共依存とはそういう関係です。
お互いを、自分が生きるための道具としか見ていない人間関係です」



正直に言います。
私、このときSさんにちょっとイラっとしてました。

どうしてこの人は自分の話ばっかりするんだろう。
私に知識をひけらかしたいの?
M君と重ねて、自分に同情でもしてほしいの?

だとしたら、とんだお門違いだ。
私はM君の話をしにきたんだから。

そんな気持ちが態度に出てたと思う。
このときの私は、たぶんものすごい感じ悪かった。


「すみません、共依存のことはわかったんですけど…
それはM君と、どう関係するんでしょうか?」

「Mさんが私と同じように、親から認めてもらいたいと思っているなら
それが無意識であればあるほど、彼は人を道具にし続けるだろうなってことです。
現実の行動として、彼は絶縁までしてますし
表面上は、自分は親から完全に自立したと思っているでしょうね」

「それは………M君が共依存だってことですか?
私はそうは思いませんし、もし無意識がそうであっても、
そんなに問題にすることでもないように思えるんですけど。
別にそれで困ったことが起きてるわけでも、何でもないですし」

「喪子さん、矛盾している」



Sさんにバシッと言われた。


「Mさんについて困ったことが起きてるから、今日はうちに来たんですよね?」

「そ、そうですけど…」


そうだけど、そうじゃないんだ。
私はその話をしに来たんだけど、その話がしたいわけじゃない。

話だけなら、Sさんの話はまるで池上彰のように、丁寧でわかりやすかった。
それなのに、なんとも言葉にできないモヤモヤに支配されて
Sさんに対するイライラばかりが募っていく。


「私はM君の生い立ちとかが知りたかっただけで…
その確認がとれたから、別にそれでいいかなって。

誰かにM君の評価をしてほしいわけじゃない…。
それは、私自身がM君と付き合って見極めることだと思うから」

「生い立ちの確認とれればいいってことは
Mさんがネグレクトされてたのがわかってよかったー、ってことですか?」


「何ですかそれ!?そんなんじゃないですよ!!」

「じゃあ、何です?」


何です?と問われて、たじろいだ。
だって自分でも一瞬、「じゃあ何なんだ?」ってなったから。


「…O君の話で、それが確認できたから…
これからはM君を支えてあげられるかな、って」

「どうして喪子さんがMさんを支えてあげなきゃならないんですか?
Mさん、これまで喪子さんいなくても、やってこれてるじゃないですか」

「でも!M君の生活がおかしいから、心配なんですよ!」

「その生活を好きこのんで送ってるのは、他ならぬMさんですよね。
彼はもういい大人で、親から強制されてるわけでもないんですよ?」


「O君の話でわかりました、M君は普通の生活を知らないんです。
だからちょっとお節介だけど、私がフォローしてあげれば
そのうち、ちゃんとした生活に戻れるかもしれないし…」

「ちゃんとした生活って、誰にとってちゃんとした生活なんですか?
喪子さんにとって、ですか?」


「違いますよ!一般的にってことで!」



「Mさんはそれを望んでいるんですか?
もし彼に、今の生活を改善する気がないなら、喪子さんがやろうとしていることは
知人夫婦や両親がMさんにやった"押し付け"と一緒じゃないですか?」


「はい…!?」


たたみかけてくるSさんに、どんどん混乱していく。
自分で何が言いたいのか、何がしたいのか、頭の中が白くなる。


「私は、別に、そうじゃなくて…
……M君がもっと、自分を大事にしてくれればいいなって思ってるんです。

確かにそれは、私が勝手に望んでることです。
でも、付き合ってるのに心配もしちゃいけないの?

私は男の人とのお付き合いは、確かに初めてだけど…
相手のためを思って行動することは、そんなに責められることなんでしょうか?
生活能力が低い彼氏の世話を焼いてあげたいって思うのは
彼女として、そんなにおかしい行動ですか?」

「全然おかしくないです。当たり前のことだと思います」

「………じゃあなんで!」

「あの、ちょっと待った」


私の不穏な空気を察したのか、O君が口を挟んだ。


「あのさ、Mの友達としてではなくて、喪子の友達として言わせて」

「………なに?」

「あのー、余計なお世話かもわからんのだけど……
Mはちょっと、癖があるっつーか……女癖悪いんだよ」



ものすごく言いにくそうにするO君。
考えてみれば、このときのO君は、私とM君の間に立たされて、
ついでに私とSさんの間にも立たされて、
わりと可哀想なクッション役を果たしてくれていた。


「ああ…知ってるよ。
告白したとき、M君が自分から話してくれた」

「え、そうなの?」



「うん。そういう癖を治したいってすごく悩んでて、正直に話してくれた。
私は、最初から知ってて、M君と付き合うことを選んだんだよ。
だからそのことについては問題だと思ってない」

「でもさすがに9人は……心配にならない?」

「ん?9人って何?」


その瞬間、O君が盛大に「あー、やべえ」って顔になった。


「えっ、それってもしかして……M君が付き合った人数…?」


「うん…高校卒業してからの…
あ、でもこの二年は、資格の勉強してたから…」


えーっと、てことは………

10年間で、9人………………



129: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 20:45:56.83
読んでないけど痛そう臭そうで読むの怖いけど読んでも大丈夫?大の大人が読んでも恥ずかしさで顔真っ赤にならない?



132: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 20:47:58.68 ID:LZSY7jKs.net
>>129
正直、かなりイタイ話だと思う



130: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 20:46:20.65 ID:LZSY7jKs.net
「…………なんっじゃそりゃ!?
一年で別れて、ほぼ取っ替え引っ替えしてたってこと!?
え、それは、同時進行とかもあったりするんですか!?」

「それは大丈夫。二股はないらしい」

「そっかー、よかったー……とはならないからね!??」

「酔って口が軽くなったときの話だから、盛ってるかもしれないけど…
でも、うん、なんか……ごめん」


「いえいえ、滅相もありませんけども…。
ごめん、だって私、せいぜい3、4人かと思ってたから…」


そりゃー過去の恋愛話を聞き出そうとすると、口ごもるわけだわ…


「とにかくあいつ、その全員と同じような別れ方してるんだよ」



一年たつと、急に憎悪が湧いてこっぴどく振る。
3、4人なら相性の問題かもだけど、9人かあ…


「確かに、ちょっと予想外の人数だったけど…。
でも私は、正直に話してくれたM君を信じるよ。
人に話したのは私が初めてらしいし、これから治していこうとしてるM君を信じる」

「んー…でも逆言えば、
本人が治したいと思ってるのに、これまで治せてないってことだからな。
あのさ、落ち着いて、よーく考えてみろよ。
自力で治せるとしたら、9人と同じこと、繰り返すと思うか?」


「…それは、でも…………
付き合ってみなけりゃわからないよ」

「あのさ、ちょっとキツいこと言うぞ。
喪子がいくらあいつを信じたところで、あいつが治るわけじゃねえと思うよ」



パンっ!と頬を張られたような気がした。
でも、そんな私になんかお構いなしに、O君は続けた。


「喪子、今日は何しにうちに来た?
別に肩持つわけじゃないけど、どうしてそんなにSの言葉に噛み付くんだ?
ほしかったのは、Mは虐待されてたっていう、同情できる情報だけか?」


「……………え。なにそれ、違うよ」


なぜか自分の声が、遠くの方に聞こえた。


「じゃあ聞くけどさ。
おまえ、Mの何がよくて付き合ってるんだよ?」


「だって、一緒にいて楽しいし…
M君は、優しいし、かっこいいし、面白いし…
私、本当にM君のこと、大好きなんだよ」

「それはわかるよ、俺もあいつのそういうとこは大好きだよ。
でも、あいつはこれまで女を自分都合で一年更新してきたような地雷男だぞ?
しかも、それを正直に明かしたってことは
同じことをおまえにやるぞって宣言してるのと一緒だぞ?」


「違うよ!そんな宣言したって、M君にはなんのメリットもないじゃん!」

「あるよ。
一年後に別れるときに、俺の欠点は正直に話してある。
それでも付き合うって決めたのはお前の方だ。
って、責任を全部喪子にかぶせることができるじゃねーか」


「そんなわけないじゃん!
なんでO君まで信じてあげないんだ、友達でしょ!?」

「あいつ、自分のことをなんも自覚しようとしないんだぞ?
親からネグレクトされたのは、全部自分が悪いと思ってるんだぞ?
そうやって親を庇い続けて、こっちがなに言っても耳素通りしちまうんだぞ?
あいつはずっと、自分を蔑ろにした親の味方だけしてきてるんだよ。
そんなやつの、何をどう信じるって言うんだよ?」



「それでも私は、信じてるんだよ……信じるしかないじゃん……
私、ただM君のことが好きなだけなんだよ…」

「それって、Sが暴力男を好きだと思ってたのと、何が違うんだよ?」


今度は、ガンっ!と頭を殴られたような気がした。
一瞬、本当にO君から殴られたかと思うようなめまいがした。

ぼーっとしてると、Sさんが私の顔を覗き込みながら
「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた。
そのSさんの目を見ているうちに、やっと気づいた。


………ああ、そうだったのか。

Sさんはずっと、自分やM君の話をしてたわけじゃないんだ。
Sさんは最初から、私の共依存の可能性を指摘していたんだ。
私はそれを受け入れたくなくて、あんなにイライラしてたんだ。


私が共依存?
そんな馬鹿な!!


だけど私は、さっきのO君の問いかけで、はっきりと気づいてしまった。


そうなんだ。

私がほしかったのは、M君が虐待されてたっていう情報だけ。
私がO君から聞きたかったのは、「あいつはおかしい」っていうお墨付きだけ。

だって、そのお墨付きがあれば、私は大手を振ってM君の世話が焼ける。
そうやってM君の世話を焼いてる限り、私はずっとM君のそばにいられる。
ずっとM君のそばにいるために、M君は、ずっと私を心配させてくれてなきゃ困る。


つまり私は、口ではいろいろ言いながら
M君の生活を改善しようなんて、
M君に変わってほしいなんて、
本当は、これっぽっちも思ってはいなかったんだ…


M君は、私を初めて女として認めてくれた人。
私は自分の女としての尊厳を保つために、M君が必要だったんだ。


ああ……みじめだな。

彼氏いない暦=年齢なんて、冗談めかして公言しながら
本当は私、こんなにも自分のことを、みじめに感じていたんだ。
M君の生い立ちまで利用してでも、自分の中の"女"を守りたかったんだ。
そんなことをしなけりゃ、女としての自分を保つこともできないなんて……

これはもう、M君がどうとかいう問題じゃあない。
私自身がこんな気持ちじゃ、彼と付き合うことなんてできやしない。


そう思った瞬間、寂しくて寂しくて、涙がボロボロこぼれてきた。
Sさんが「泣いちゃえ、泣いちゃえ」と、背中をさすってくれた。


「私ぃ…もうM君とはぁ、お付き合いできないですぅ」

「そうですか、うん、うん」

「だけどぉ……別れなくないんですぅ」

「うん、うん、わかります」

「私ぃ、どうしたらいいんでしょうかぁ」

「そんなこと、私は知りませんよ」



ぐはっ!

優しい顔をしたSさんから、心を突き飛ばされた。


「…………そりゃそーっすよねぇぇぇぇ」

「はい。そこは喪子さんの好きにしてください。
て言うか、喪子さんの好きにしていいんです」


「でももう、自分がどうしたいのか、わからなくなっちゃってぇぇぇ」

「あのね、"わからない"のは、頭で考えちゃってるからです。
いま大事なのは、頭で考えた理屈よりも、心で感じる気持ちじゃないですか?
気持ちを感じるだけなら、いつだってできるはずですよ?」


「気持ちぃぃぃ」

「はい」

「私の気持ちはぁぁぁ」

「うん」


「………別れたくなんかないです。
例え共依存と言われても、やっぱりM君が好きです。
今の私にわかるのは、それだけみたいです…」

「だったら別に、別れる必要ないんじゃないですか?」


「でも、こんな浅ましい気持ちでM君と付き合っても…
絶対にいい方向へなんて行きっこないです…」

「大丈夫ですよ、そんなの。
実は男女の関係って、大抵が共依存なしには始まらないそうですよ?
だとしたら、共依存がなかったら、人類絶滅ですよ。
別に特別なものじゃないんです、誰の中にも多少はあるものなんです。
そうと自覚してるかどうかだけで、その後の関係は変わるもんですよ」



「私が頑張れば…なんとかなるでしょうか?」

「んー。喪子さんだけ頑張っても、どーにもならないでしょうねえ」

「………ですよねぇぇぇぇぇ」

「Mさんは、カウンセリングやセラピーでも受けるのがいいんでしょうけど」

「けど?」

「ああいうの、自発的に受けないと効果ないですしねえ」

「ああああぁぁぁ」


「そもそもですね」

「なんでしょうか」

「Mさんとお付き合いするのに、どうして喪子さんだけが頑張るんですか?」

「えっ?それは………」

「別にいーんじゃないですか?特に頑張らなくても」

「えっ?………いーんでしょうか???」

「うん。頑張れって、誰が言ったんですか?」

「誰がって…………あっ!?」

「はい?」

「…………言ってるのは、私だけですね」

「ですねー」

「そうか………別にいいんだ、頑張らなくても」


Sさんは、すごかった。

話していると、自分の脳みその表面に凝り固まっている
思い込みだの偏見だのが、ガンガン剥がれ落ちていくみたいだった。



142: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 20:52:51.54
10年で9人て別に普通じゃね



146: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 20:55:39.54 ID:LZSY7jKs.net
>>142
そうなの!?



143: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 20:53:26.79 ID:LZSY7jKs.net
「そんなこと言えば、私なんか思い込みで生きてきた典型例ですよ。
Mさんが何人も彼女作ってきたのだって、たぶんそう。

Mさんは、人間関係の基礎となる親子関係が
彼一人だけ見捨てられることで成り立っていました。
だから彼には、人間関係とは相手から見捨てられて一人ぼっちでいることだ、
という観念が植えつけられているんだと思います。

でもずっと見捨てられ続けた彼は、もう人から見捨てられることには耐えられない。
自分が見捨てられないために一番いい方法は
見捨てられる前に、自分から相手を見捨ててしまえばいい。
それがMさんの一年タイマーの正体だと思います」


「彼には、お付き合いの内容は、あまり重要じゃないのかもしれません。
"自分は見捨てられなかった"という事実だけが、彼に安心感を与えているんでしょう。
そしてそうやって別れた結果、親に教え込まれた人間関係である
「一人ぼっちでいる」という状態を維持することもできるわけです。

相手に別れる気があるかないかは、彼にとって問題ではないんです。
自分の中の、"見捨てられたらどうしよう"という不安に突き動かされて、
"教えられたとおり、自分は一人でいるよ"と見てもいない親に証明してるだけ。

それは言ってしまえば、Mさん一人の思い込みによる妄想です。
彼は、自分が作り出した妄想に縛られて、一人で悩んでいるんです」

「喪子さん、人を束縛するのはね、社会とか規則とかよりも
圧倒的に、自分自身なことが多いんです。

だけどそうやって自分で自分を束縛しないと、生きられない人生もあるんです。
大げさに聞こえるでしょうけど、それが生きる術になってしまう人もいるんです。

Mさんにとっては、自分を存在価値ナシというレッテルで束縛することが
きっとその環境を一人ぼっちで生き抜くための術だったんでしょう。

だから、Mさんのレッテルを無理矢理剥がして変化を迫るのは
彼に死ねと言ってるのと同じになる可能性があるんです。
だって彼は、いまだに自ら一人ぼっちになって生きていこうとしてるわけですから。

お二人には酷でしょうけど、Mさんは、誰かと仲良くはなれても
共に生きることはできない人なんですよ。
自分の妄想の世界の中で、目の前にいもしない親に忠誠誓って生きてるんです。
だけど、それこそが、お二人が大好きなMさんなんです。

人が人を変えることはできません。
自分しか、自分を変えられる人はいないんです。
できるのは、相手の存在をそのまんま認めることです。
付き従うでも、巻き込まれるでもなくて。
私は、そうやって相手を尊重しあうのが、愛なんじゃないかなって」


それから私は本やネットで
共依存やアダルトチルドレンのことを夢中で調べまくった。

何度も書いてるので口説いようですが、私はM君の優しさが好きなんです。
だけどいろいろ調べるうちに、そんな彼の優しさも
もしかしたら生い立ちに影響を受けてるのかも?とわかってきた。


M君の優しさは、例えば記念日に高価なプレゼントをくれるような
目立ったアピール性のあるものじゃあない。
むしろそういうのには無頓着なほう。

だけど、ちょっと疲れてたり落ち込んでたりを、
こっちが何も言わないのに気づいて、あったかい飲み物を差し出してくれるような
そういうほっとするような優しさが、彼にはあるんだ。

でもそんなのも、ものすご~くイヤな言い方すれば
子どものころから大人に気を遣ってきたせいで、
人の顔色を伺ってご機嫌をとるのが上手い、ということになっちゃう。


だから、そこを殊更にありがたがるのは、果たしていいのか悪いのかがわからない。
でもでも、やっぱりそれは彼の長所の一つだし、私には大きな魅力だ。
何に影響を受けてのことであっても、それだけは否定できない。

そんなふうに見ていくと、何が正しいのか間違ってるのか、
さっぱりわからなくなってしまった。
Sさんが言った、相手の存在をそのまんま認めるって
案外難しいんだな…とぼんやり感じた。

でも、それでやっと気づいた。

どの本にもどのサイトにも、私とM君は出てこないんだ。
やっぱり私は、M君と向き合うことでしか
私たちの関係を理解することはできないんだ…。

いろんなことに自覚のないM君と付き合うということは
ハラスメントを受ける可能性がある、ということだった。

でも、最初のうちは保っていた緊張感も
日々の付き合いの中で、だんだんと薄れていった。
私たちは相変わらず、ゲラゲラ笑いながら楽しく過ごすことができていたんだ。

O君宅でのことは、一切話さずにいた。
どう話せばいいのかわからなかったし、何よりも、
話すことで今の関係が崩れてしまうのが怖かったんだ。

なんとなくそうやって、何もなかった振りで自分を誤魔化しながらやっていた、ある日。

M君の部屋へ遊びに行くと、レンタル屋さんの袋があるのを発見した。
借りるより買う派の彼にしては珍しい。
何かオススメでも借りてきてくれたのかな?


「ねえ、これ何借りてきたの?」

「あ、それはちょっと」



袋に手を伸ばすと、私より先にM君が袋を押さえた。


「おやおや~?ひょっとして、肌色率の高い映画ですか~?」


中身は洋画のDVDだった。
実験的な演出が面白そうだったし、M君もまだ見てないとのことなので
一緒に見ようと言ってみたけど、彼はあまり乗り気じゃなかった。


「内容暗そうだしなー。今見るのには、どうかなあ」

「いーじゃん。たまには二人で落ち込もうぜいw」


と、押し切って見始めたんだけど。

M君の言ったとおり、ものすごく暗くて救いがない映画だった。
あらすじをかいつまむと、


ある村に逃げてきた正体不明の女を、村人たちがかくまう。
女は恩を感じ、村人たちのお手伝いをしながら、村にとけ込んでゆく。

でも、女がマフィアに追われているとわかってから
村人は女をかくまう代償をつり上げていき
やがて女は、男たちに体を弄ばれるまでに追い込まれる。

だけど、女を追っているマフィアとは、じつは彼女の父親だった。
父親に救い出された女は、迷ったすえに村人を全滅にしてしまう…


という話。



ひえ~、なんじゃこりゃ、後味わる~、と思っていたら
M君が無言で立ち上がってトイレに行った。


………………………。

………………………?

……………………あいつ、吐いてる!?


「どどどどど、どーしたの?ひょっとして、お昼に当たった!?」


その日の昼食は私が作ったので、ちょっと焦った。


「ごめん、違う…酔った…」

「あ、映像酔い?」


お酒は飲んでなかったし、前に映像酔いするって言ってたから、そっちかと思った。
でも、酔うような映像、どっかにあったっけ???


「映像じゃなくて………ストーリーがダメだった…」

「えっ、そんな………なにを繊細なことを!」

「俺が一番びっくりしてるよ…」



153: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 20:59:31.70
ドッグヴィルって書けばええやん

no title



156: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:01:05.41 ID:LZSY7jKs.net
>>153
正解!



154: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 20:59:45.60 ID:LZSY7jKs.net
それからM君はぐったりしてしまった。
帰ろうか?と聞くと、まだいてほしい、と言われた。
そんなことを言うのも、珍しいことだった。

しかたないので、M君が回復するまで、なにが彼にダメージを与えたのかを考えていた。

暴力シーンはあったけど、そんな過激だったわけじゃない。
第一、M君は結構グロ耐性はあるほうだから、あれくらいで吐くわけないし…

私が悶々としているうちに復活したM君は
「口直しに他のものでも見るかー」と言いだした。


「え、ちょっと待って。
あの映画の、どこがそんなにダメだったの??」

「ん?別にダメだったわけじゃないよ。ちょっと疲れてたのかな。
さてどうしようか、これ返して、何か借りてこようか」



………ちょっと疲れてると、吐くのかおまえは。

またいつもの誤魔化しが始まったようだった。
全然違う話をし始めた彼に、置いてきぼりにされた気分になる。


「…ねえ、私、結構びっくりしたんだよ?
何か理由があるのなら、教えてほしいな」

「何もないよ。びっくりさせてごめん。
でも、本当に大丈夫だから」


「………おまえが大丈夫でも、私が大丈夫じゃねーんだよバカヤロー」

「なんだかやけに食いつくね…カッコ悪いから、早く忘れてもらいたいんですが」

「M君は、なんだかやけに誤魔化すね。
それって、私には話せないってことなの?」

「うーん…別に、わざわざ話して聞かせるようなことじゃないんだよ」

「………いまM君、うぜえって思ってるでしょ」

「なんだそりゃ。思ってないよ」

「だけど、うざくしたくもなるんだよ」

「いや聞けよ。うざいなんて思ってませんって」

「だってM君はいつも、私にはなんにも話してくれないんだもん」

「……え」

「誰にだって話したくないことがあるのくらい、わかってるさ。
だけど、こんなになんでもかんでも話してもらえないと
なんだか私はM君にとって、取るに足らない存在なんじゃ?
みたいな気がしてきちゃうんだよ」

「…そっか。
俺、自分のこと話すの、あんまり得意じゃないからな…
そんな気持ちにさせてるとは思わなかった、ごめん」


「ううん。
話してもらっても、私に何ができるわけじゃないから
エラそうなことは言えないんだけどさ」

「そんなことはないよ」

「まっ、ちょっとそんなわけで、鬱屈しちゃってただけだから
特にゲロった理由が聞きたいわけでもないのさw」

「………別に、話したくないってわけじゃないんだ。
ただ、どう話せばいいのかがわからなくてさ…」


「そうやって話さないでいるうちに、きっと本当に話せなくなっちゃうんだよ。
そしてある日、僕は自分が思っていることの半分しか
語ることのできない人間になっていることを発見した。やれやれ。」

「黙れ村上春樹。
わかった、この際だからちゃんと話すよ。

………俺、あの主人公の女のことを、昔の自分に重ねて見てたんだ」



あ、大事な話が始まる、と思った。


「俺、家族とは仲が悪いって話、前にしたっけ?」

「うん?……疎遠になってるって聞いたよ」


突然始まった独白に、知らないふりをする後ろめたさがチクチクと。


「疎遠っていうか、ほぼ絶縁だね。
昔から家族とは全然相性が合わなくて
大人になってから、もう無理だと思って家を出たんだけどさ」



あ、そこはずいぶん豪快にはしょるんですね。


「やっぱり一応子どものころは、親に気に入られたくてさ。
それで、いろいろやってはみたんだよ。
そのころの自分が、村人に取り入るために必死に尽くすあの女と重なったんだ」



私にはあの主人公、そんなふうには見えなかったけどなあ。


「だからたぶん感情移入しすぎたんだろうな。
ラスト、女が村人を全滅させるシーンで、やめろ!って思ってさ。
そんなことしたら帰れなくなるだろ!って…

まだそんな気持ちが自分の中に残ってたってのが、ちょっとね。
自分でもびっくりするくらいショックだった」


ああ………。
自分から家族を見限ったつもりでいたのに、
まだ帰りたがってる自分を見つけちゃった、ってことか。

Sさんが言ってたとおりだ。
M君は無意識に、まだ親に認められたがってる。

自分から絶縁はしても、気持ちはまだ絶つことができていないんだ。
そしてそれは彼にとって、吐くほど拒絶したい気持ちだったってことだ。


「ごめん、喪子は家族と仲がいいから、こういう話は不愉快だろ?
この歳で家族がどうのって…カッコ悪いの通り越して、みっともないよなw」


「そんなことないよ、話してくれてありがとう。
でも…つらかったんだね、おうちのこと」

「まあ、全部俺が悪いんだけどね。
俺の反発であの人たちの家庭壊しちゃったんだから。
俺がいなければ、もっと平和で幸せな家だったんだよ」


ああ、本当だ。
O君が言ってたとおり、本当に全部自分が悪いってことになってるんだなあ…

その言葉は、まるでテンプレのようにスラスラと出てきた。
たぶん、自分の中でずっと繰り返しているんだろう。


「自業自得だよ。自分で自分の帰る場所をなくしたんだ。
いまさら帰りたがっても、もう手遅れなんだよ」


自分に言い聞かせているような言葉が、なんだか虚しかった。

いまさらって。手遅れって。
初めから、大人の都合で帰る場所を奪われてしまったんじゃないか。


「だから、こんな気持ちはなかったことにするしかないからさ。
………うん、やっぱり話せてすっきりしたかな。
聞いてくれてありがとう」



……………違うな。

せっかくM君が封印bオていた無意識bェはっきりと出bトきたのに
ここで、そんな結論で、終わりにさせちゃいけない。
そんなだったら、私、何のためにO君ちに行ったのかわからなくなる。

でも私は、Sさんみたいに上手く説明はできないし、O君みたいにビシッとも言えない。


「………あのさ、私いま、M君をハグしてあげようと思ってるんだけどさ」

「うん?」

「私がこれからハグするのは、今のM君じゃなくて、子どものころのM君だからね?」

「………はい?」


怪訝な顔をしたM君を、構わずぎゅーっとした。


「は?え?なに?なんで突然?」

「あ~あ、こんなに痩せちゃって、まあ…」

「おい」

「………お父さんやお母さんに気に入られたくて、頑張ったんだねえ」

「ああ、そういうプレイなんだw」

「でもどうにもならなくて、辛かったねえ…」

「え、俺はばぶーとか言ってればいいのか?w」

「さっき、帰る場所がなくなるって思ったのは、そうやって頑張ってきたM君だよね?」

「いやちょっと…あのー喪子さん……?」


「今のまんまじゃ、辛いよねえ。諦めらんないよねえ」

「………………」

「その上、大人の自分にまでなかったことにされちゃったら、もっと報われないよねえ」

「………………はい、おしまい」



M君は私の体を押し離した。


「ちょっと大袈裟に話しすぎたかなー。
別に、そんなに寂しい子ども時代だったわけじゃないよw
心配してくれたのは嬉しいけど
今日のことは気にしないで、もう忘れてよw」



そうか。
彼はいつもこうやって、自分の子ども時代をなかったことにしてきたのか。

涙ぐむでも怒るでもなく、いつものにこやかな顔のままでさ。
だからそれだけなら、私の勘繰りかも、となるだろうけど。


でもさー、映画見て吐くほど心が葛藤するなんて事態は
忘れてしまっていいはずはないよねえ。


メープルシロップの時と、この日と。
私はもう二回も、子ども時代のM君が消される現場に立ち合っている。

それなのに、私はあまりにも無力だった。
「人は人を変えることはできない」という言葉の意味を実感していた。


そんなこんなで、やがて問題の一年が過ぎようとしていた。

けれど、M君タイマーが発動される気配はちっともなくて
周りからは呆れ気味に「夫婦漫才か」と言われるような
バカップル的な楽しい付き合いを相変わらず続けていた。

M君とは、モラハラを仕掛けられるどころか喧嘩すらしたことがなくて
少なくとも私は、彼と一緒にいることで、不愉快な思いをしたことはなかった。

そんなふうに、私たちはとても仲が良いカップルだった。
だけど言ってしまえば、私たちはただ仲が良いだけのカップルだった。

男女としての行為はもちろんあったし、
私って大事にしてもらえてるなあ…と、キュンとすることもあった。
けれど私たちの関係には、決定的に欠けているものがあった。


それは、なんと言うか、「深み」とでも言うのかな?

M君は感情の中でも、喜怒哀楽の、怒と哀を一切表現しなかった。
イラッとしたり、ウルッとしたりってレベルですら、見たことがなかった。

なので、嬉しいとか楽しいばっかりじゃない部分で
本音でぶつかりあったり、相手の苦悩を受けとめたりするような機会が
私たちの間には全くなかったんだ。

負の感情をさらけ出すことを極端に避けるM君の生き癖は
私たちを「仲良し」止まりで固定し、それ以上の関係になることを拒んでいた。


そのことは知らず知らずのうちに私を焦らせていたのかもしれない。
私は自分の手で、M君タイマーの針を進めてしまうことになった。

ある日、私は同僚の結婚式に出席した。

私、結婚式って大好きなんですよ。
自分がどうのこうのではなくて、行事として好き。
綺麗な服着て美味しいもの食べて
みんなが幸せそうにしてる、あの晴れやかさがいいのね。

その日のお式も、とても温かい雰囲気のもので
数日後にM君と会ったとき、私はそのことを話した。

すっごくいいお式だった、私、結婚式大好き!
みたいに。

無神経だったかな、とは思う。
M君は、ちょっと困ったような顔をした。


「……喪子は、結婚したいの?」

「えっ!?
あっ、別にそういう意味で言ったわけじゃないから!」


いつもなら「ふうん、そっか」と引き下がるはずのM君が、この日は違った。


「いや、どうなの?結婚したいの、したくないの?」


私、馬鹿だよねえ。
そう問われて、ドギマギしてたんだから。


「そりゃ、…興味はあるよ」

「俺、結婚願望ないんだよね」


間髪入れずに返された。
はあ…、左様でござるか。


「まあ私も、どうしてもってわけじゃないからな~」

「でも、したいと思ってるんでしょ?」

「うん、いつかはしてみたいね」

「ふうん、そっか」


やっとM君の「そっか」が出た、と思ったら。


「じゃあ、別れようか」


…………へっ!?


「待て待て待て待て、ちょっと待ってよ!なんでそーなる!?」

「だって結婚したいと思ってるのなら、結婚願望ない俺と付き合っててもしかたないでしょ」

「べつにM君とどうとかってつもりで言ったわけじゃないよ!?」

「俺とどうとか思ってないのなら、余計俺と付き合っててもしかたないよね」


なにその「はい論破」!?
正論なのに、全然納得できないよ!



「そんなことないよ!?
M君に結婚願望ないからって、それが別れる理由にはならないよ!?」

「あのさ、こういうのって、需要と供給なんじゃないかな」

今度は経済用語ですか!?

「結婚願望のある人同士が付き合うのが、効率いいんじゃない?」

「私、効率いいか悪いかで人と付き合ってないもん!」

「だけどいずれは結婚したいのなら、結婚願望のない俺なんかとは別れて
他の男と付き合ったほうが喪子にとってはいいんじゃない?」


「結婚だけが付き合う理由じゃないよ!
そんなの、付き合った結果で結婚するかどうかじゃん!」

「だから、結婚願望のない俺じゃ、その結果がはじめから見えてるでしょ」


ぐはっ!
そうくるのか…


「でもそんなの、今しなくてもいい話じゃない。
私が結婚したいと思ったら、そのとき考えればいいことで…」

「いずれしなくちゃならないなら、今してもいいんじゃないかな。
俺、自分のわがままに喪子を付き合わせることはできない」

「なによそれ………M君の言ってること、なんかおかしいよ」

「どこが?」

「だってさ…
私だってもういい歳だし、結婚話が出るのは自然じゃない。
でもM君は、自分に結婚願望ないことなんて、始めからわかってたでしょ?

なのに、どうして最初の時じゃなく、今なの?
しかもそれが私のためだって言うの?
全然意味わかんないよ、そんなの。

ひょっとして、これはあれ?
一年経つと別れたくなっちゃうっていうやつ?」


M君の顔から、すーっと表情が消えた。

わかってもらえるかな?
それまでも無表情ではあったんだけど、なんていうか、
無表情って表情まで消えた感じだった。

正直言って、怖かった。
私、いまM君の地雷踏み抜いたんだってわかった。


「そうだね、最初に言っておいたよね、俺はこういうことするって。
でも、それでもいいって言ったのは、喪子だよね?」


ん?どこかで聞いたな、このセリフ。


…………あー。

M君、それは言ったら駄目だよ。
それを言ったら、おしまいになっちゃうよ…

「…よし!それじゃあ私、帰るわ!」


それ以外、なんにも思いつかなかった。


「そうだよ、私あのとき言ったもんね、これは私の選択だって。
だからM君は、なんにも悪くないもんね!」


こういうのも売り言葉に買い言葉って言うのかな。

私はとにかくその場から離れたくてしかたなかった。
初めて見るM君の冷たい態度が怖かったし、悲しかったし
それに最初の話からすれば、いま彼は、私を憎悪してるんだから。



……………どうして私が憎悪されなくちゃならないのかなあ……?


家に帰ると、母から「あれ、早かったね」とかなんとか声をかけられた。
その瞬間、私の涙腺は信じられないほど大爆発した。


「なに!?どうしたの!」

「ぎゃーす!ぎゃーす!」

「なにがあったの!?どうしたの!?」

「ぎゃーす!ぎゃーす!」

「………あーあーまったく…
そんな子どものときみたいな顔して泣いてー」



何十年かぶりで母に抱きしめられた。

「おがあざん!ぐやじいよー!!!」

「うんうん、付き合ってれば色々あるよねえ」

「でも、もうだめだー!おわりだー!!!」

「うんうん、人の心は難しいよねえ。
でもお母さんは知ってるよ、喪子はとっても頑張ってたよ。
M君と付き合ってから、喪子はうんときれいになったよ」



三十女が、母親にしがみついて泣いた。
もうグロ注意って感じ。ほんとごめんなさい。
しかも一部親バカ発言も書いた。ほんとごめんなさい。

でも、母親って本当に偉大だよね。
そうされてると、たいしたこと言われたわけでもないのに落ち着いちゃうんだ。

さすがお母さん、私を産んだ人。


そしてM君は、この安心感を知らずに生きてきたんだなあ…。

O君は、電話口で声を詰まらせている私を、また家に呼んでくれた。

私は二人に謝った。
せっかくあんなにアドバイスもらったのに、なにもできませんでした。ごめんなさい…


「そんなことがあったんですかー。
でもそれ、喪子さんは何にも悪くないですよねえ」


「そ、そうでしょうか…」

「喪子さん、あんなに気をつけてたのにMさんに乗せられちゃいましたね。
すごい、感心しちゃう。あざやかだなあ」


「そんなところに感心しないでくださいよお。
私はこれまでの彼女と違って、いろんなこと知ってたはずなのに…
一年のジンクス、破れなかったなあ…」


「やっぱり別れるんだ?」


O君の声が、心なしか沈んでいる。


「だって、別れるしかないもん…」

「でも喧嘩して仲直りするって、男女の付き合いの基本じゃないか」

「だけど、普通の喧嘩じゃないんだよ?
私、いまM君から憎悪されてるんだから…」

「今回、あいつは自覚的に変わろうとしてたわけだし
いまごろ、やっちまった!ってなってるんじゃないかね?」


「でも、別れることで彼の不安は解消されるんでしょ?
だったら私、M君のために別れるよ……」


「喪子さん!」


Sさんが、強い口調になった。


「別れるのなら、Mさんのためじゃなくて、自分のためになさい!」


「ふお!?」

「Mさんは、いつものMさんのセオリーどおりに動いています。
でも喪子さんが、それにあわせなきゃならない決まりなんてありません。
別れるなら別れるで、喪子さん自身が納得できる理由で別れればいいんです。

納得できない消化不良のまま別れてしまうと、その消化不良を解消しようとして
他の人と同じような恋愛を繰り返すことになっちゃいますよ?」


「だ、だめんずうぉーかー…」

「そういうことです。
喪子さんが、あんな顔だけの屁理屈男、もういいやってのならいいんですけど」



うわあ…Sさんにかかるとひどい言われようだな、M君。


「………私、本当はこのままM君と別れたくなんかないです。
悲しいし悔しいし、何より納得いかない…。
どうして私が憎悪されなきゃならないの?

別れるなら別れるで、こんな一方的な形じゃなくて
ちゃんと話し合って、二人で決めたいんです」

「だったら、その気持ちをMさんにぶつけてみたら?」

「でも…………怖いんです。
私、憎悪されちゃってるわけだし…
あんな冷たいM君には、もう会いたくないんです…」

「あー、それ…。
普段穏やかな人が急に機嫌悪くなったら
誰だってビビって、自分が悪いんだって思っちゃいますよねー」

「はい…」

「そうやって自分を悪者にしておけば
相手がどんなに理不尽でも、立ち向かわなくて済みますもんねー」

「あああああ………はい…」


「あのね、ずっとそうやって逃げ続けてきたわけですよ、Mさんも」

「………あ~。」

「親は悪くない。自分が悪い。そういうことにしておきたいんです。
だって、親が悪いと気づいてしまうことは
親が自分を愛していないと気づいてしまうことになるから」


グサッときた。

ああ…。
言い換えれば、私がM君が悪いと気づいてしまうことは
M君が私を愛していないと気づいてしまうことになるのか…。

察してくれたのか、Sさんはちょっと優しい声になった。


「喪子さんに変わりたいと言ったMさんの気持ちは、嘘じゃないでしょう。
だけど、今回彼は、変わらないことを選んだ。
ただそれだけの話なんです。

だったら喪子さんだって、どうするかは自分で選んでいい。
Mさん基準で行動する必要はどこにもないですよ」


その言葉ではっとした。

そうだ。
私はいつも、自分がM君に合わせるべきなんだと、どこかで思ってた。
だってM君は不幸な生い立ちなんだから。
だから私が我慢しなくちゃって、ずっと思ってた。

でもそれって、M君を見下してることにならないか………?

私はM君が可哀想だから好きになったんじゃない。
彼にはいいとこがいっぱいあって、私はそこを好きになったんだ。
その気持ちこそが私の原動力で、一番最初は生い立ちなんて関係なかったはず。

言いたいことは言っちゃわなきゃ気が済まないはずなのに
いつの間にか、私は自分の気持ちをどこかに置き去りにして、自分を誤魔化していたんだ。
M君のやり方に、いつの間にか倣っていた。

よし、戻ろう。
こんなの私じゃないや。
本来の私に戻ろう。

初めのころの目線の高さで、もう一度M君に向き合おう。
もう逃げないで全力でM君にぶつかろう。
もしこれで最後になっても、思い残すことのないように。



180: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:13:05.70 ID:LZSY7jKs.net
きちんと話し合おうよと、メールでM君を呼び出した。

どこで会うかは結構悩んだ。
Sさんからさりげなく「できれば人の多い所がいいですよ」と忠告されていた。
それだけしか言われなかったけど、どういう意味かはわかった。

だからM君の部屋じゃだめだ。
かと言って、ファミレスやカフェでしたい話の内容じゃないし。
でも初の私の部屋で、別れ話するんじゃ私的にヘビーすぎる…

悩んだすえ、カラオケボックスを利用することにした。
個室だけど、外に出れば人はたくさんいる。

当日、M君を奥にして、私は入り口に近い方の席に座った。
そんなことを考えなくちゃならないのは悲しかったけど
でもつまり、そういうことなのだと痛感させられた。
まあ結果的には杞憂に終わったんだけど。


その日のM君は、なんちゅーか影が薄かった。

ああ、この人はこんなに弱い人だったんだなあ。
自分のしたことで、こんなにダメージ受けてしまうなんて。

相変わらず無表情のM君に、私から切り出した。


「このあいだはごめんね!
カッとして、言いたいことばっかり言っちゃった。
だけど、今日も言いたいこと全部言いたくて呼んだんだ。
ムカつかせたらごめん。でも、言う。
私、こないだのM君の言葉が本心だとは思えないんだ」

「どうしてそう思うの?」

M君は私のほうを見ない。テーブルだけを見つめていた。
ものすごいしゃべりにくくて、気持ちが萎えてくる。
これはいかーん!と思って、私は彼の手を見つめてしゃべることにした。
指だけが、叱られてる子どもみたいにそわそわ動いてたからね。



182: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:15:09.16
見てる



184: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:15:41.41 ID:LZSY7jKs.net
>>182
嬉しい、ありがとう



183: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:15:09.72 ID:LZSY7jKs.net
「だってM君、私と付き合うときに、自分を変えたいって言ったじゃない。
私にはあのときのM君が嘘をついてたとは思えないんだよ。
私、私を理由にして別れようとする、こないだのM君よりも
自分自身を理由にして、付き合いたいって言ってくれたM君のほうが信じられるんだ」

「言ったね、そんなこと。
でも、どっちの俺も俺だよ?」


「わかってるよ。だから困るんじゃないか。
私、べつにM君と別れたくなくてこんなこと言ってるわけじゃないんだよ。
今日でおしまいになる覚悟はちゃんとできてる。
だけどその前に、私はM君の本当の気持ちをちゃんと知りたいんだ」

「俺の気持ちは、こないだ言ったよね?」


「私のために別れるってやつ?
私、あんなのじゃ全然納得できないよ。
私が知りたいのはもっと単純なことなんだよ。
M君が、いま、私を好きなのか嫌いなのか。それだけ。
あれから散々考えたけど、私はやっぱりM君のこと大好きだよ」


いまさらですが。
私はそれまで、一度もM君から好きだと言われたことがありませんでした。
それに気づいたときはキツかったですわー。
本当に、ずーっと私の片思いだったんだなあ、と。


「だけど俺、ひどいことしたよね?」

「うん、ショックだった。いっぱい泣いたさ」

「だったら、そんなやつとは別れたほうがいいだろ?」


「そんなねー、論破するようなこと言ったってねー、
私がM君を好きだって気持ちは、M君には変えられないよ?」

「だけど別れてもいいと思ってるんだろ?」


「そうだね。
私が付き合いたいのは、私のことを好きなM君だから。
M君が私のこと嫌いって言うのなら、しかたないよ、ここですっぱり別れよう。
だから、私はM君の気持ちを聞きたいんだよ。
私のこと好きなのか、嫌いなのか」



186: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:19:13.14
読んでるよ
完走してね



187: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:19:23.97
私はこんなに良い女!という妄想を聞かされ続けて
読み続けてる私の気持ち

最後まで続けてください



188: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:21:13.82
支援支援支援。みてるよ。



189: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:28:47.09 ID:LZSY7jKs.net
「俺は…」


そのまま、M君は黙り込んだ。
私も黙ってM君の言葉を待った。
隣の部屋から、やけに上手な「冬のリヴィエラ」が聞こえてきた。
くそったれーと思った。

そして、小一時間は経ったかなというころ。


「………俺のわがままに、喪子を付き合わせるわけにはいかないから」

やっと出たM君の言葉はそれだった。

また、聞こえがいいだけのただの正論。
中身のない、空っぽな言葉だった。


「言ったでしょ。それはM君のせいじゃない、私の選択だよ?」

「だけど俺のせいで、喪子の時間を奪ってしまうのは…俺には責任がとれない」

「私の人生の責任は、私がとります」

「だけどそれで、喪子の出会いのチャンスを潰してしまったら…」

「勝手な想像で勝手に私の将来潰さないでよ、ムカつくなー!」


M君はまた黙り込んだ。
相変わらずうつむいてたけど、口をパクパクさせてた。
なにか言おうとして言えないでいるみたいだった。

なんか酸欠の金魚みたい。
まるでそうしないと生きていけないみたいに口をパクパクさせて
M君は私に反論しようとしている。

なんだか、それを見ていたら、急に思ってもなかった言葉が出てきた。


「もうさー、そんなに自分を誤魔化さなくってもいいんだよ!
もういい、十分だよ!M君はこれまで、本当によくやったよ!」


事前に考えておいて、言おうと思ってたことはまだまだあった。
でもこれを言ったら「言い尽くしたなー」と思えた。

私が我慢するとか、諦めるんじゃくてさ。

固まったように動かず、しゃべることもできないでいる彼を見ているうちに
これはもう、M君の変えようのない生き方なんだなあって、いきなり納得できた。

だったらそんな彼の人生に、皮肉でもなんでもなく、
せめて「天晴れ」と言ってあげたくなったんだ。


「…これで私の言いたいことはおしまいです。あとはM君次第だよ」


「…………ごめん、別れよう」



それがM君の答えだった。


「うん、わかった。いままでありがとうね」

「ごめん」

「えー、最後がごめんはやだなー。なんか他のこと言ってよw」

「…………ごめん」



あのとき変わりたいと私に言ったM君は、他でもない、自分に負けてしまった。
何よりも彼自身が、それを嫌というほど自覚している。
M君は、うつむいてると言うよりうなだれていた。
その姿にじわっと涙が出てきて、それを隠して荷物をまとめた。



だっけどさー!
マンガや映画だったらここで終わりなのにさー!

そこから二人で廊下歩いて行かなきゃならないんだよねー。
そのあとは、受付でお会計もしなくちゃならないのよ、現実は。

しかもカウンターで、よくあるあの儀式がはじまっちゃってさ。


「俺が」

「呼び出したんだから、私が」

「いいから」

「せめて割り勘で」

「ほんとにいいから」



M君の顔に似合わないゴツい手が、私の手をお財布ごとバッグに押し戻した。


「一緒にケーキ食べられなかったお詫び。ずっと気になってたから」


ケーキ?
私、今日ケーキ食べるなんて言ってないよね???


………………あーーーー。



涙腺が緩んで、私は小走りで店の外に出た。



M君は甘党で、特にケーキが大好きだった。
他の食べ物はあんまりでも、ケーキだけには身を乗り出した。
だからよく、二人でケーキ買ったり作ったりして食べてたんだ。

でも、そうだ。
いちばん最初のケーキだけは、一緒に食べられなかったんだっけ…


なんでそんなこと、いま言うんだよう。
ずっと気にしてたなんて、馬鹿だなあ。


…でも、M君らしいや。


店から出てきたM君に、私は駐車場のあっちのほうからべっこり頭を下げた。
泣き顔は見られたくなかったんだ。

M君がどんな顔してたかはわからない。
視界が歪んでたからね。


バイバイ、M君。

終わったー、私の恋。


それからは、いろんな人に報告しまくった。
そうすることで気持ちに整理をつけたかった。
湿っぽいのはいやなので、「これは空元気だよ!」とか言いながら。

だけど、やっぱりSさんのときだけは、少し泣いてしまった。

「そのうちご飯食べにきてくださいね」

とだけSさんは言ってくれた。

でも積極的に行く気にはなれなかった。
だってSさんのダンナはM君の親友だから。
M君の気配のあるところには、しばらく近づきたくなかった。


それから半年くらいかな。
私は落ち込んだ気持ちを引きずるでもなく、わりと普通にすごしていた。
最後に言いたいこと言えたせいか、後悔や未練はほとんどなかった。

そんなある日、部屋で優雅にスルメをしゃぶっていたら、携帯が鳴りだした。


んー?名前が表示されてないなあ
知らない人からの電話には出ませーん
なんかしつこいねー、頑張れー

…………………あはん!?





「もっ、もしもし!」

「もしもし、あのー、Mですが」

「どうしたの!?元気だった!?私は元気だよ!どうしたの!?元気!?私は元気!」


軽くパニクってましたすいません。


そっか、ならよかった」


久々に聞けたM君の「そっか」が嬉しかった。




「いま大丈夫かな?」

「大丈夫だよー」


スルメ食ってただけですから。


「えーと……ごめん、出てもらえないと思ってたんで、あせってるな」


独り言みたいにM君が言った。


「大丈夫だよー、落ち着くまで待つから」

「ごめん。えーと…あー、いまなにしてた?」

「それを聞くか!?」

「あ、ごめん」



なんか「ごめん」ばっかだなー。


「ユーミンの歌であったよね。
あなたと別れてからはキレイでいようとしてたのに
どうして私、今日に限ってサンダル履き!?ってやつ」

「ああ、あったね」

「スルメ食ってました」

「スルメwwww」


あー、笑ったあ~。
スルメ、グッショブ。


「それで?突然どうしたの?」

「あのー………じつは伝えたいことがあって」


「えー、なに?」

「うん………それで電話したんだけど」

「えー、なになに?」

「ええと………じつは…さ…」

M君は電話の向こうで深呼吸してるみたいだった。
それを聞いてたら、私もドキドキしはじめた。


「あのー、俺さ」

「うん」

「俺さ、俺………えー…あのー………ね」

「うん?」

「あれなんだよ、ええと……そのー……俺さ」

「うん」

「えーーーーー」

「うーーーー?」

「…………………ああ…やっぱだめだ話せない…」

「話したくないなら無理しないでいいじゃんw」

「話したくないわけじゃない。わざわざ電話したんだし…
ただ、頭ん中真っ白になっちゃって…なにも言葉が出てこない」


「じゃあさー、私が話してもいい?」

「どうぞ」

「たぶんいまM君は、私になにかを話しておかなきゃ!ってなってて、
それで緊張しちゃってるんでしょ?
でも私、たぶんM君が思ってる以上に、M君のこといろいろ知ってると思う。
今さらだけど謝っとくね。黙っててごめんなさい」

「ん?どういうこと?」

「ずっと内緒にしてたけど、付き合ってたころね、私O君にM君のこと相談してたんだ」

「Oに?俺の?なにを?」


「一番は…M君のおうちのこと」


受話器の向こうが、一瞬だけ無音になった。


「………どうしてそんなことを?」

「M君が、ひょっとしたら子どものころ虐待受けてたんじゃないかな?と感じたから」

「あー……………なんだよ、それ…」



どういう意味なのか、絞り出すようにM君は言った。


「Oはなんだって?」


「養子のこととか、M君が家族と疎遠になった経緯とか、話してくれた」

「うん、そこらへんはあいつには話してあるから。
そうじゃなくて、その、さっき喪子が言ったやつとか、そっち」

「ん?虐待のこと………??
わからないけど、そうじゃないかと思ってるって」

「俺がそういうの受けてたって?」


「うん、たぶんって」

「俺、それはないから」


M君は、明らかに「虐待」という言葉を口に出すのを避けていて、
このあとも「それ」とか「そんなこと」とか抽象的に言ってたんだけど
すんごいわかりにくいので、一応ちゃんと「虐待」って言葉で書いときます。


「そう…そうなんだ」

「そんなふうに見えた?」

「そんなふうって言うか…
なんか私、M君に対していろんな違和感があってさ。
それで総合的に考えて、ひょっとしたらって思っただけ。
違ってたのならごめん、変な勘繰りだったね」

「あの、俺いま、カウンセリング受けてるんだよ」

「えっ………!」


いきなりのカミングアウトに度肝をぬかれる私。


「さっき言いたかったのはそれ。ありがとう、言いやすくなった」


「ありがとう」とはほど遠い、強張った口調でM君は言った。


「俺さ、自覚ないんだよ。虐待とか言われても」

「んん…………?
じゃあ、なんでカウンセリング受けようと思ったの?
てか、なんのカウンセリング受けてるの?」

「ワーカホリックの」


ワーカホリックとは仕事依存症のこと。
表面的には「仕事を頑張ってる人」っていうプラスイメージがあるし
アルコールやギャンブルの依存症とは、ちょっと性質が違うので
本人も自覚しづらいし、周りからもわかりにくいやつ。

たしかに、以前のM君の働き方はそんな感じだった。
M君、そこは自覚できたんだ…。


「そしたら、問題はワーカホリックなことじゃなくて
どうしてワーカホリックになったかだ、と言われた。
たぶん、子どものころのことが影響してるんだろうって。
だけどさ、よくわからないんだよね。昔のことだし」

「記憶が曖昧になっちゃってるんだ?」

「うん。虐待された覚えもないから、別に問題ないと思ったんだ。
でも、"覚えがない"と"覚えてない"では、全然意味が違うって言われてさ。
俺はちょっと忘れすぎらしくて…」


「忘れすぎって?何年のとき何組だったかとか?」

「あのー、そういうのじゃなくて………」

「じゃなくて?」


「小1のとき、自分が何組で担任が誰で出席番号が何番で
誰と友だちでどんなことがあって…ていうのを、何も覚えてない」


「え?………遠足でどこ行った、とかは?」

「いや、そもそも、自分が小1だったことが思い出せないと言ったほうが早いかな。
小1のだけじゃなくて、すっぽり記憶が抜けてるところが、ちょこまかあってさ」


「自分でおかしいなって思わなかったの?」

「単に俺が記憶力悪いだけだと思ってた。
昔のことを忘れるのは当たり前のことだから」



確かにM君、「俺、忘れっぽいから」ってよく言ってた。
解離性健忘という症状なんだそうだけど、このときの私はそんな言葉は知りませんでした。


「M君………はっきり言って、それは当たり前な忘れ方じゃないよ…」

「うん…」

「しかも、それを当たり前だと思っちゃってることが、なんて言うか……
ごめん、私からすると、ものすごいヘンだ……」

「そっか…」


「でも、でもね、私いま、いきなり猛烈に納得できちゃったよ………!」

「え、何に?」

「私からするとものすごいヘンなことでも
M君は、それが当たり前な世界に住んでたんだね。
だったら、私がM君に違和感があるなんて、それこそ当たり前だったんだ…
だって私たち、住んでる世界が、見てる世界が、そもそも全然違うんだもん。

私、M君と付き合うってことは、M君と世界が同じじゃなきゃいけないんだと思ってた。
だけどそうじゃないから、もう付き合っていくことはできないんだって……

でも、それ違ったわ!
人それぞれ、世界なんて違ってて当たり前だよね!
だって、M君はM君、私は私!それぞれがそれぞれに生きてるんだもん!

私、大切なことに気づけた気がする!ありがとうM君!
ねえ、よければ私ともう一度付き合ってください!!」

「はっ?えっ?」


「どうかな、だめかな?」

「だめだよ、当たり前でしょ」

「また即答かい。なんでだめなの?」

「なんでって、そりゃ…俺たち、一度別れてるんだよ?
しかも原因のほとんどが俺でさ。
俺、こんな人間なんだぞ?だめに決まってるだろ」


「こんな人間って、どんな人間さ?」

「最悪の人間だろ、喪子や他の人のことも散々傷つけて…
カウンセリングなんか受けてるし、まともじゃないし……」

「M君!そろそろいい加減にしてもらおうか!」

「……はい?」


「M君は私を傷つけてなんかないよ。
あのことで一番私を傷つけたのは、私自身だったからね。

確かに、M君がきっかけでいっぱい泣いたさ。
だけどそれは、自分でも気づいてなかった私の存在を
M君が気づかせてくれたからなんだよ。
正直それって、M君よりもずっと強烈で、どデカイ存在だったんだよね。

M君が自己卑下するのは勝手だよ。それは好きにしていいさ。
だけど、M君の中に"俺が傷つけた女一覧"みたいにして私が残るのは、絶対にイヤだ!!

私が聞きたいのは、そういうのじゃないんだよ。
こうだからダメとかなんとか、そんな言い訳、私にはどーでもいいの。
M君が本当はどうしたいのか、私はそれが聞きたいだけなの!

なんで今!なんのために!君は私に電話してきてるんだ!
この後におよんで理屈で取り繕って、カッコつけてんじゃねーよカッコ悪い!
だけど!私はそんなカッコ悪いM君のことも大好きなんだよっ!!!」


はっはーまた言ってやったぜこんちくしょおーっ!!

だけどこのときの私には確信があったんだ。

M君が言いたいのは、絶対にそんなことじゃない!

あのカラオケボックスのときだってそうだし、きっとそれだけじゃなくて
私たちがすごしてきた毎日に、彼が言わないままにしてしまった沢山の言葉があるんだ。

そんなM君がどういうわけか、わざわざ電話までかけてきた。
その勇気は、絶対に私がすくい上げて、受け止めなくちゃならない。

またもや黙り込んでしまったM君に、私は尋ねた。


「ねえ、そもそもだよ?
どうして私にカウンセリング受けてるって伝えたいと思ったの?」

「謝りたかったから」


「なにを?どうして?」

「色々迷惑かけたし、ちゃんと報告しておいたほうがいいかなって…………………

ごめん違う。声聞きたかっただけ」



最後の一言は、早口でボソっと、吐き捨てるようでした。
だけどそれ聞いた瞬間、私は「うあああ!」みたいな声あげて泣きだしてしまった。

ほんと、それはそれはものすごく突然の涙腺大爆発で
自分でもわけわからないまま、携帯握りしめてわんわん泣いた。

「えっ、ごめん、どうした、ごめん」


うろたえたM君の「ごめん」攻撃。
本当によく謝る人だ。


「………聞きたかった~~~」

「え?え?なに?」


「私もM君の声、聞きたかった~~~」

「ああ、そっか………いままでごめんな」



いやあ~、文章にすると異様にこっぱずかしいね!

まあ、心の声なんて言っちゃうと、なんだかクサすぎちゃうけど。
でもこのとき、たったこれだけの会話だったのに
ちゃんとそれ以上の気持ちが伝わった、という満ち足りた感覚があった。

たぶん、私たちがお互いに本音をぶつけた初めての瞬間だったんだと思う。
言葉は少なくても、いまだに心に残っている思い出深い会話だ。



216: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:45:07.77
うわぁん



217: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:45:27.32 ID:LZSY7jKs.net
私の涙は、わりとすぐ気が済んで引っ込んだ。


「あ~、声聞けたから、今度はM君の顔が見たくなった~。
ねえ、これからそっち行ってもいい?」

「それはだめ」

「…なんでまた即答なんだよー。
まさか、いま君んちの前なんだ、とか?」

「え?………あー、気が利きませんで」


「じゃあ、今の全部ドッキリ?」

「…だとしたら、仕掛けられたのは俺だろ」

「だったらなんでよ?」

「話の展開が急すぎるんだよ…
どの面下げて会えばいいのか、わからない」



………なんだよ!そんなことかよ!!


「そんなの、M君の面ならなんでもいいよ!」

てなことで、無理矢理押しきってM君のアパートへ向かったわけですけども。

道すがら、顔合わせたら一発目に何て言おう?と悩んで
やっぱり普通に、久しぶり~とかにしよう!と思ってたのに。

アパートに着いて、出迎えてくれたM君の顔見た瞬間、思わず言ってしまった。


「……痩せた?」

「貧相ですいませんね…だからまだ会いたくなかったんだよ…」



もともと瘦せ型のM君が、一層ゲッソリとやつれていた。


いろんな思いがこみ上げてきて、そのままじっと見つめていたら

「はい、照れる照れる」

とギュッとハグしてくれた。

やったー、M君だー!
ちょっと骨当たるけどー!

なんて思ってたら、いきなりM君が「ぶふっ」と噴いた。


「………いま、笑った?」

「いえ、笑ってません」

「いま笑ったよね?なんで笑った?」

「いや…本当にスルメ食ってたんだな、と思って…」



なんで私たちには、こうも色気ってもんがないのかね…。


それからはたくさん話し合って
最終的に、私はM君がかかってるカウンセラーさんのお世話になることにした。
共依存の問題は、そのまんまあるわけだし。

カウンセリング受けることには、全く抵抗がなかったわけじゃあないんだけども
なんだろうなあ、仕事しながら健康診断受ける、みたいなもんでさ。

まあ、私たちを見守ってくれる誰かがいたっていーんじゃないの?
と、私は軽く考えた。


でもM君は、私がカウンセリングを受けることについては、かなり難色を示した。

理由は、彼はカウンセリングを受けても、楽になったわけではなかったから。
むしろカウンセリングによって、
それまで目を背けてきたものにも向き合わなければならなくなって
ものすごいストレスに晒される羽目になっていた。
それが彼の激ヤセの理由。

それってカウンセリング受け始めた人にはよくあることらしいけど
M君は実にM君らしく、そこをこじらせて劇症化させていて
自分と付き合うために、私にこんな苦しい思いをさせてはいけない、と思ったそうだ。
どういうわけか彼は、誰もが自分と同じようになるわけじゃない、とは気づいてなかった。


だけど、そんな症状が出てしまうような体験を、私はしていないわけでさ。
一回一回のカウンセリングで、泣いたり吠えたり笑ったりして終了。
つまり、次回に持ち越してしまうような問題が、私にはなかったのね。

カウンセリングのあとはすっきりケロリンパ~としている私に対して
そのころの彼は、はっきり言って、ちょっとヤバイ人と化していた。

見た目は夏場のキタキツネみたいに、なんだろ、全体的にパサパサしてた。
あと、思考がそのまま口から出てくるみたいに、独り言が止まらなかった。
会話が途中から支離滅裂になることもときどきあったし
夜は眠れない、眠ればうなされる、食欲に関しては言わずもがな。

そんな七転八倒状態で、それでも本人は頑張るつもりでいたら
「この状態のままカウンセリングを続けても無駄」とカウンセラーに言われてしまい
あのとき目の前に崖があったら、絶望のあまり飛び下りてたと後に本人は語ったw



そんなふうに書いちゃうと、カウンセラーから見捨てられたようだけど
実際はそこからがカウンセリングの本番だったそうだ。

彼の「カウンセリングを受けたい」という気持ちは、
いつの間にか「カウンセリングを受けなければ」という強迫観念にすり替わっていた。
そんなでは、どんなにカウンセリングを重ねてもよい結果にはならないわけで
まずはその意識をひっくり返すとこからだったらしい。

そのころ、あまりにも様子がおかしいM君に不安になって
カウンセラーさんに相談したら、「いまの彼は内部分裂中だから」と言われた。



自分を変えるために行動を起こそうとするM君と、
親に忠誠を誓って、変わるまいとするM君。

その両者の戦いが、あの七転八倒状態を生み出していたわけだけど
どちらの自分になるかを選べるのは、ご本人様ただ一人。
周りの人にできるのは、例えカウンセラーであっても、ただ見守るのみ。

M君は、あのころを乗り切れたのは私のお陰だと言ってくれるけど
そこまでにたどり着けるかどうかは、やっぱり本人次第なわけだし
正直なとこ、私だってカウンセラーのアドバイスがなければ
あのころのM君とは付き合えてなかったと思う。



227: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:50:48.37 ID:LZSY7jKs.net
カウンセリングの初日、私はカウンセラーさんから

「ここは問題解決の場ではありません。問題に向き合う自分を見つめる場です」

と言われた。
私はそれを「M君との恋愛相談は受け付けません」と捉えた。

たしかに、カウンセリング中の主人公は私。
M君は私の人生の一登場人物でしかない。

カウンセリング受けるきっかけがきっかけなので
ネタフリとしてどうしてもM君の登場頻度は高くなる。
だけど、M君について話し合うわけじゃない。
M君をきっかけに私の気持ちがどう動いたかとか、そんなのが中心。

だけど、カウンセラーってプロだよねえ。
当たり前なんだろうけど、M君の具体的な情報はピクリとも漏らさないんだ。
ただ、私の疑問を解くためにしてくれたお話が
とても印象的だったので、最後にまとめて書いておきます。



228: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:51:20.40 ID:LZSY7jKs.net
M君は、本来とても素直で、かなり意志が強い人。

彼の両親は彼を放置していたようでいて、そんな彼をよく知っている。
だからこそ、それを逆手にとって、親への忠誠心を育てあげた。
そしてその二つがあったから、彼は自分で自分をより強力に束縛してしまった。

彼が日常生活で無気力なのは、自分を束縛することで力を使い果たしてたから。
普通ならリラックスするようなときでも、彼は自分を縛ることに全精力を注いでいる。
だから無気力なようでいて、本当はものすごいエネルギッシュな人だと言える。

束縛が減っていけば、そこに集中させていた力を他の部分へ回せる。
そのパワーは、普通に生活していれば使う必要がないものなので
誰もが持っているもの、というわけではない。

だからカウンセリングが進むうちに、思いもよらない才能が出てくる人もいる。
彼自身、彼の親、彼の生い立ち、彼がすごしてきた時間の全てが彼に力を与えてきた。
そんなふうに、彼の人生には無駄なものなんて何一つない。


…とのこと。



230: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:53:11.08 ID:LZSY7jKs.net
家庭崩壊が叫ばれて久しい昨今です。
M君のような生きづらさを抱える人も多いでしょうし
そんな人との付き合いに悩む私のような人もきっといるでしょう。

もしそんな人がこれを読んでくれていたら
そんな考え方もあるんだな、と諦めないでほしいです。

…と、口で言うのはとても簡単。
実際の道のりが険しいことは、M君の様子からわかります。
私は彼から、黙って見守ることの難しさと大切さを教えられました。

私たちのような関係に嫌悪をもつ人も、中にはいるかもしれません。
だけど私は、私を人間的に成長させてくれたM君に、結構感謝しているし
彼の精神力の底知れぬ強さは、素直にかっこいいと思ってます。
まー最初のほうで、優男とか散々言っちゃったけどさw


長々とお付き合いいただきありがとうございました。
これにておしまいです。



231: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:53:45.08 ID:LZSY7jKs.net
ごめんなさい
なんか最後説教くさい…



233: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:54:10.62
>>231
今がその状態で継続中なのですか?



238: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:57:39.41 ID:LZSY7jKs.net
>>233
数年経っているので、かなり落ち着いてますね

でもおそらくは、ちょっとずつ良くなりながら
一生ついて回るものなんじゃないかなーと思う



242: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 22:00:58.95
>>238
そうなんですね
ビップラがアド晒しの出会い板に成り下がった中でこんなのが読めて楽しかったです
>>1さん幸せになって下さいね



246: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 22:04:52.16 ID:LZSY7jKs.net
>>242
昔のビップラのつもりで来てみたらずいぶん雰囲気変わってたので
こういうスレ立てちゃだめかな…とちょっとためらったw

どうもありがとう、あなたも幸せでありますように



232: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:54:08.89
読んだよ!
今は幸せ?



236: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:55:40.56 ID:LZSY7jKs.net
>>232
どうもありがとう!

幸せというか、楽しいよ
少なくとも私はw



237: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:56:11.09
お疲れさまでした
個人的にいろいろ考えさせられた
書いてくれてありがとね!



240: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:58:56.32 ID:LZSY7jKs.net
>>237
こちらこそありがとう!

なんか最後エラそーになってしまった…ごめんなさい



239: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 21:58:32.23
彼は幸せなの?



241: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 22:00:00.16 ID:LZSY7jKs.net
>>239
それは彼に聞いてみないとわからないなあ
幸せだといいな、と思うけど



244: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 22:02:48.85
>>241
あなたは幸せそうだけど
付き合ってる相手が幸せかどうか分からないってそれでいいのかな



247: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 22:11:18.26 ID:LZSY7jKs.net
>>244
うーん、「いま幸せ?」なんて聞いたことないしなあ

彼の幸せは彼が決めるもの
もしその幸せに私が関われるなら嬉しいな、と思う



314: 1@\(^o^)/ 2017/01/05(木) 21:49:19.33 ID:fdAVqadQ.net
>>244がなんだか気になって
彼に聞いてみたら、幸せだと返ってきた

よくわからなくなってしまったので、幸せって何なのさと聞いてみたら
「不幸でいなくてもいいこと」と

俺のはハードル低いから、哲学する気なら参考にならないよ
と言われてしまった

私、幸せってどういうことなのか、これまで考えたことなかったんだ
自分が幸せかどうかなんて考えたことなかった
だから>>244の問いに、じつはすごく戸惑った
ここでいろんな人から、幸せにねと言われて
嬉しいなあと思ってるだけだ

幸せって何なのか考えなくても済んだのが、幸せなのかも
哲学するのはきちんと哲学できる人に任せよう



243: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 22:01:46.40
じぶんも所々記憶抜けてる系だわ
今幸せだけど向き合い方も人それぞれ色々だね

完走おつおつでした



249: 1@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 22:17:20.57 ID:LZSY7jKs.net
>>243
お陰様で完走できた、ありがとう!

記憶抜けてるって、自分ではわりと気づきにくいみたいですね
ほんと、いろんな形の人生があるんだなあと思います



250: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 22:51:58.73
私の好きな人とM君が似ている気がして、すごく引き込まれました

ありがとう



251: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 23:01:48.29
ひと
しゅごい



252: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 23:09:16.98
数年前のことなのに細かい会話までよく思い出せるな
その記憶力がすげーよ



253: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 23:27:30.96
お疲れ様。読みごたえあったよ。幸せになりますように。



255: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/03(火) 23:36:26.10
2人は続いてるのね?



258: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 00:16:09.60 ID:UbaK59Q7.net
わー、いっぱいレスもらってる!

>>250
こちらこそ、読んでくれてありがとう
あなたとその彼に幸あれ

>>251
うん
しゅごい

>>252>>254
そうなの一言一句間違いないのしゅごいでしょ~

>>253
どうもありがとう
みんなに幸せ祈ってもらえてなんか嬉しいなあ
あなたもどうぞお幸せに

>>255
はい、続いてますよー



256: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 00:08:29.09
まあ結局結婚もできなかったということで。解散



257: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 00:10:27.73
結局なんなんだ



259: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 00:18:20.32 ID:UbaK59Q7.net
>>256-257
結局なんなんだろうね、結論はないな
結婚はたぶんしないと思う



260: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 00:31:51.34
どうみても創作でワロタ



261: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 00:38:05.33 ID:UbaK59Q7.net
>>260
バレたか!



262: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 00:58:09.14
最後までドキュメンタリー風に読ませておいて創作オチ???



263: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 01:00:26.72
俺ちょっとM君に似てるわw



264: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 01:13:29.90
なんでセリフがいちいち漫画やドラマっぽいんだよ



265: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 01:14:03.72
変なもん見つけたせいで睡眠時間が…



266: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 01:39:00.82 ID:UbaK59Q7.net
>>262
創作してないと言えばウソになる部分は、正直ある…
散々言われてるけど、会話とかね

>>263
似てる人は結構いるんじゃないかなー
あなたがそうだと言うわけじゃないけど
M君のような生い立ちの人は、テンプレみたいに似たような行動をとるらしいよ

>>264
それはたぶん、書いてるときの私が自分に酔ってたからです…

>>265
明日お仕事って人も上の方でいたし、睡眠優先でね
睡眠大事よ



267: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 01:49:06.42 ID:UbaK59Q7.net
読み返してみたんだけど、喪子うぜえw
なんか他人事に見えて、ちょっと新鮮w

長い長いと思ってたけど、結構スレ残っちゃったな
すぐ落ちちゃうと思ってたら、ここはスレ落ちるのに時間がかかるのね

書き込んでくれたみなさん、どうもありがとう
おやすみなさい



269: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 07:23:00.68
喪子はイイヤツだけどウザいな
グイグイ来すぎて疲れる
でも彼とは相性良さそうだ



272: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 12:49:50.82 ID:UbaK59Q7.net
>>269
普段から、自分はウザいんじゃないかって思ってるので
キャラづけするとき、ウザさを強調してしまったのだと都合よく思うことにしたw



274: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 13:09:30.41
>>272
仮に文のままだとしても良いと思うよ
喪だった原因はそこだとは思うが、相性の問題であって悪いってことじゃないし



277: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 14:01:19.46 ID:UbaK59Q7.net
>>274
ありがとう、いい人だ…

「好きでーす!」ドーン!みたいな
情緒もなんもない感じだったからなあ

自分の女の部分を演出するのが苦手というか
でも、M君とは、それで最初うまく噛み合ったわけだから
それが相性というものなんでしょうか?



280: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 14:20:41.83
>>277
そうじゃないかな
読んでて、この二人は相性良いなーと思ったよ
グイグイいく女じゃないと、彼とは別れたっきりだったと思う
彼にとって他の人とは違うインパクトがあり、自分を良い方に向ける予感のする人だったんだと思う



281: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 14:35:18.62 ID:UbaK59Q7.net
>>280
あ、他の人とは違ったとは彼からも言われた
相手から申し込まれて付きあったのも、
相手から申し込まれて二度付きあったのも初めてだ、とw

でもそれ、彼が電話してこなけりゃ、なかったかもなんだよね
それが相性のなせる技だったのかな
なんか不思議…



283: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 14:47:05.33
>>281
彼が電話したくなる存在だったんだよ
本当の自分に触れようとした女だからね
カウンセリングなんか行ったら思い出すし報告したくもなるだろう



273: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 12:54:06.63 ID:UbaK59Q7.net
なんか、自分を描こうとすると
いいやつっぽくおキレイにまとめたい気持ちと、
いやいや、こんなじゃないよね私!?って気持ちが葛藤するね



275: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 13:27:57.42
結婚したいって思わない?焦りとかない?



278: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 14:05:32.05 ID:UbaK59Q7.net
>>275
結婚はどっちでもいい
M君と、ということなら、してもしなくても同じ気がする

何より、M君が結婚に強い抵抗があるので
そこを無理に押してまでやりたいものでもないなあ



276: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 13:42:57.50
何色のタイツ履きますか?



279: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 14:06:18.28 ID:UbaK59Q7.net
>>276
意表を突いたいい質問だ!



282: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 14:41:55.80
>>279
で、どう?



285: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 14:54:39.99 ID:UbaK59Q7.net
>>282
ごめんタイツあんま履かないのよ…
タイツとパンツ以外の色なら答えられるよ

>>283
なんか過大評価しすぎてない?嬉しいけどw

本当の彼に触れようなんて
大それたことは思っちゃなかったけど
なんだーこいつ??みたいな好奇心はあったなー

レスのタイミングかみ合わなくてごめんね



286: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 15:09:45.37
>>285
過大評価というか1の人格が特別優れているとは思っていないよ
身近にいても友達になりたいとは思わないし
でも彼には合ってると思うだけだ
良くも悪くも二人とも個性が強烈だから、バランスの取れた普通の人は合わんだろ



287: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 15:24:27.42 ID:UbaK59Q7.net
>>286
おおう…ちょっと思い上がってみました…

でもやっぱ、合うと言ってもらえるのは嬉しいな
ありがとう



284: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 14:47:27.11 ID:UbaK59Q7.net
あ、そうか、281書いてて気づいたけど
二度めだけじゃなく、一度めだって彼が電話してこなけりゃ
なかったかもしれない付き合いなんだ

すごいね
スレ立てたら、なんか客観視できるし
いろいろレスもらえて、改めていろいろ考えさせられる

まだまだ気づいてないこと、いっぱいあるんだなあ



295: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 17:25:27.67
ドッグヴィルとか超元気な時にした方が良いよ
ダンサーインザダークの監督だけど、両作共に救いがないし人間の汚さ全開だよ



298: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 20:59:38.09 ID:UbaK59Q7.net
>>295-296
私はトリアー監督、そんなに駄目ではないんだ
まあ落ち込んでるときには絶対見ないけどねw
何作か見てるけど、すごい話作るなーって引き込まれる
ちなみに、M君がこの世で一番嫌いな人は、トリアー監督

あと、なに書いてもいいよ、もう一応目的果たしてるスレだし
でも独占はちょっと困るかも
私ももうちょっと自分語りしたいw



299: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 21:17:18.33
>>298
捉え方がずいぶん違うね
あの監督作品のストーリーはすごく普通だと思ってるよ
結果が現実的で驚きがない
演出は嫌いじゃない
ドッグヴィルも映像は良かった



300: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 21:52:25.85 ID:UbaK59Q7.net
>>299
私、あんまり解釈とかできないんだ
漠然と、すげーって見ちゃってる
監督の、人ってものの捉え方が、私では思いもよらないからかも

ドッグヴィル、映像はかっこよかった!



301: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 21:58:18.10 ID:UbaK59Q7.net
つうか、あれらのストーリーのどこが普通なのだ!
全然わからないよ!



302: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 22:03:50.09
最初に設定作って、登場人物を全員現実に普通にいそうな凡人達にしたら
あとは勝手に結末までできそうな感じ
想定の範囲内ってやつ
フィクションならではの個性が強い人間が出てこない
だから意外な事も起こらない



303: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 23:28:37.01 ID:UbaK59Q7.net
うわー
前にM君は、トリアー作品は電車だと力説してた
止まる駅が決まってて、あとは乗客放り出してくだけって
これたぶん、あなたと同じ意見だよね
なるほど、たしかに個性的な人は出てこないもんね

私、ほんとに解釈とか苦手でさー
語られても、へえ~そうなんだ~くらいしか言えなくてさ
話し相手になれないのよね、勝手に語られるけどw
でも、そんなふうに考えるんだなあと、感心はしてるんだ



304: 1@\(^o^)/ 2017/01/04(水) 23:58:51.78 ID:UbaK59Q7.net
自分語り入りまーす

じつは、一昨年あたりから
主にM君の環境が少しずつ変わってきてて
去年の九月、とくに大きな変化があったので
ちょっとここで一区切り、みたいな意味もあってスレ立てたんだ

その変化を呼んでるのは、他ならぬ本人だし
前とは比べものにならないくらいに行動力もある
ここへきて、いろんなことが実を結びはじめてるのかも

だとすれば、私たちの関係にも変化はあると思う
どんな変化になるかはわかんないけど

私は、私たちの関係は一生モノだと思ってるわけじゃないんだ
二人が、それぞれ何かに納得したり、決別したりできたときに
「よし、じゃあ別れようか」ってこともあり得ると思ってる

だから今現在が一番大事
過去も未来も大事だけど、今がとても大事と思える
こういう感覚はこれまでなかったので、なんか新鮮



305: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/05(木) 00:42:55.50
読み物として面白かった!明日寝不足だわー。

そして、自分と好きだった女の子と少し重ねてしまった…。
なんか切ないわー。



309: 1@\(^o^)/ 2017/01/05(木) 20:45:04.12 ID:fdAVqadQ.net
後追いで読んでくれる人、結構いるんだね
どうもありがとう
>>305は、その女の子とは切ない結果になってしまったの?




319: 305@\(^o^)/ 2017/01/05(木) 22:22:14.41
>>309


好きだった女の子に会う度に結構ひどい事を言われていたんだけど、一見明るいんだけど闇が深い所をちょいちょい見せるその子に
「その子の為に何かしてあげたい、その子をほっておけない」って思っちゃたんだよね。でもそれって共依存なんだよね、きっと。
その子とは付きあってはいなかったけど、その子に合わしている自分に限界が来てしまって、最後ひどい事を言ってもう会っていないわ。
俺はある人に「その子が望んでいないのにほっておけないって余計なお世話だよ。」と言われたんだけど、同じようなこと言われてるなって
思って読んでいました。



未だに最後に言い過ぎたことをすごい後悔しているんだよねー。



310: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/05(木) 20:46:03.59
改行や1スレ内に収まる長さといい、文章の読ませ方といい、なんかプロっぽいね



311: 1@\(^o^)/ 2017/01/05(木) 20:58:32.52 ID:fdAVqadQ.net
>>310
嬉しいけど、それかなり言いすぎだよw

とにかく長くなってしまったので
せめて読みづらくないようにしなくちゃとは思ったけど
文章うまい人なら、もっとキレイに簡潔にまとめられただろうなあ
最後はもう、どこ消せばいいかもわからなくって、開き直ったw



312: 1@\(^o^)/ 2017/01/05(木) 21:04:01.84 ID:fdAVqadQ.net
書いとかなきゃいけない内容と
自己満足で書いときたい内容の区別がついてないのが
読み返してて、自分でもよくわかった

読んでくれてる人、本当に感謝だよ



317: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/05(木) 21:59:07.30
と思って読み始めたら普通に読める文章だった
だけどわいはいっちがどうなろうと全く持ってどうでも良い
なんかイケメンと付き合おうが金持ちになろうが全く興味がない
だから指輪物語の一番最初、ホビット庄の話しを読まされている感満載で約20スレで読むことを辞めた



318: 1@\(^o^)/ 2017/01/05(木) 22:06:43.15 ID:fdAVqadQ.net
>>317
やだ…
あなたのほうがよっぽど文章力あるだわよ…

ホビット庄ってのがすごいよくわかって凹むww



330: 名も無き被検体774号+ 2017/01/07(土) 02:51:34.05
結婚を考えている彼女がアダルトチルドレンの気があるから所々自分と重ね合わせて、見入ってしまった
一生の問題になるかもしれませんが、お二人がそれぞれ幸せになれるよう、願っています



327: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2017/01/06(金) 19:49:05.59
良かったです
自分も色々考えさせられました
自分と向き合う作業は必要ですね



n_yaruo
人を変えるのは本当難しいよね。この恋がきっかけで大きく二人が良い方に変わっていくことを祈ってるよ


1001: 以下、おすすめ記事をお送りします: 2017年01月11日 ID:girlsvip-matome